瀬戸内産パッション収穫開始

熟したパッションフルーツの実を収穫する里山正樹代表

阿木名で出発式「発育遅れたが最高の味」

 皇室献上品で有名な瀬戸内町のパッションフルーツが収穫シーズンに入った。瀬戸内パッションブランド産地協議会(有田修一会長)は9日、同町阿木名の合同会社奄美(里山正樹代表)で2022年度産の瀬戸内パッションの出発式を行った。天候不順のため発育が遅れていたパッションの実も、ようやく収穫期。出荷ピークは今月下旬から7月初旬の見通し。

 同町農林課によると、同町の今期生産者は27人、栽培面積2・5㌶、生産量は前年並みの40㌧を見込んでいる。

 天候不順の影響で日照不足が目立ち、着色が3週間ほど遅れたが2~3日前から色づき始め、出発式のあった同社農園でも本格的に収穫を始めた。里山代表は「発育が遅れただけで、実の大きさも味も例年通り変わらず最高の出来。すでに全国から約2㌧の注文が入っているが、その対応に追われている」とうれしい悲鳴を上げている。

 同農園は18年にパッションの植栽を開始。現在、2連のビニールハウス5棟24㌃で栽培し、今年度中に14㌃の増設を計画している。今期は5㌧(前年並み)の収穫を見込み、個人販売を中心に全国に出荷。近年は同町出身の明生関が所属する立浪部屋など、大相撲関係者からの注文も多いという。

 ハウス内では、農園スタッフが着色具合をチェックし、瑠璃色に色づいたパッションの実を一つひとつ丁寧に収穫。数日寝かせて出荷される。味見をした集落住民は「まだ酸味が強いが、1週間くらいで酸味と甘みがちょうどよくなって最高の味になる」と満足気。

 瀬戸内産パッションは、17年に「瀬戸内パッション」を商標登録。19年「かごしまブランド団体認定」を受けた。有田会長は「ブランド化が定着しつつある。奄美の温暖な自然で育ったパッションを全国の人に味わってもらいたい」と意気込みを話した。

 東武百貨店(東京・池袋)で開催中の「第1回奄美の観光と物産展」にも、瀬戸内パッションを出品。販売促進活動を展開する。