県議会一般質問

嘉徳浜護岸工事「生命・財産守るため早期整備」
再検証、見直しを否定
国体での復帰70周年記念冠称・知事「大変有意義」

6月定例県議会は10日、引き続き一般質問があり、伊藤浩樹議員=自民党、出水市区=、上山貞茂議員=県民連合、鹿児島市・鹿児島郡区=、禧久伸一郎議員=自民党、大島郡区=、西髙悟議員=自民党、志布志市・曽於郡区=が登壇。上山議員が嘉徳浜(瀬戸内町)の護岸工事を取り上げ、浜崖=はまがけ=要因の再検証、計画の見直しを求めたのに対し、県当局は必要性を否定、「住民の生命や財産を守るため早期に整備を進めていく」との考えを強調した。

嘉徳浜の護岸工事については安原達・土木部長が答弁。上山議員が挙げた専門家の指摘を踏まえ「(指摘内容は)浸食の要因については台風に伴う高波浪のほか、嘉徳川の蛇行が要因と推定し、対処方法として河川の蛇行を防止するための突堤の整備と浸食された急斜面を保護する方法を提案している。嘉徳海岸の事業計画の策定にあたっては海岸および環境の専門家で構成する検討委員会を開催しているが、指摘の専門家の提案も考慮の上、工法の検討が行われた」と説明。検討の結果、台風時に発生する外力へ抵抗する護岸に加え、自然環境に配慮していく現在の整備方針が取りまとめられたとして、安原部長は「あらためて浸食の要因について再検証する必要はないと考えている」と述べた。

護岸工事計画の見直しについて安原部長は「整備方針は、住宅および墓地の保全のために必要最小限の180㍍の区間としており、また、もともと砂浜ではなく砂丘があった位置と高さに設置するもの。防災面の必要から護岸を設置するものの、自然環境や景観に配慮するため護岸全面を砂で覆いアダンを植栽する」として、県としてはこうした考えを機会あるごとに住民に説明しているとした。

禧久議員は来年10月開催の「燃ゆる感動かごしま国体」における奄美群島日本復帰70周年記念・冠称=かんしょう=要望の意義で知事の見解をただした。塩田康一知事は「来年の国体で、奄美群島で開催される競技に復帰70周年記念の冠称をすることは奄美群島市町村長会から要望書が提出され、5月31日に開催された国体実行委員会総会で審議し、スポーツ庁および日本スポーツ協会に要望することが承認された」と経緯を説明。知事は「来年は復帰70周年を迎える大きな節目の年であり、奄美群島で国体競技(相撲など)が開催されるのは今回が初めてであることを踏まえ、地元で実施される競技に『奄美群島日本復帰70周年記念』の冠称を付し、その歴史的な意義を広く示すことは大変有意義である」と述べた。総会で承認されたことを受けて今月6日にスポーツ庁および日本スポーツ協会に要望書を提出しており、知事は「今後、その実現に努めていく」との決意を示した。

燃油、肥料、配合飼料など農業分野における生産資材の価格について松薗英昭農政部長は「新型コロナウイルス感染症やウクライナ情勢等により上昇を続けており、コストの上昇を販売価格に転嫁できない状況にある中で農業経営に深刻な影響を及ぼすことが懸念される」と指摘。松薗部長答弁によると、県ではJAなどの関係機関団体からの意見・要望も踏まえ価格高騰による影響を緩和するため、セーフティーネットの構築されていない肥料については制度の具体化を含めて影響緩和対策を図るとともに、価格高騰による影響を緩和するためのセーフティーネットが既に構築されている燃油や配合飼料については制度の安定的運用を図るための予算確保を、県開発促進協議会を通じて国に要望していく。