出前授業&ガイド研修

生物多様性の新たな魅力の発見に感嘆の声(左・講師の鈴木英治氏)=11日、伊仙町糸木名小体育館

 

 

新知見に感嘆の声
徳之島虹の会が開始

 

 

 【徳之島】自然保護団体のNPO法人「徳之島虹の会」主催の第1回出前授業とエコツアーガイド研修が11日、鹿児島大学国際島嶼教育研究センター特任教授の鈴木英治氏(69)を講師に、伊仙町立糸木名小学校と阿権浜海岸沿いであった。参加者たちは多様性に富んだ足元の植物相の分類、微細な特徴など新たな知見を得て感嘆の声を上げた。

 徳之島虹の会が、一般財団法人セブンイレブン記念財団の助成金を活用して専門家らを招へいし、小中高計10校・学年を対象に11月まで計画した自然学習「出前授業」の第一弾。並行して、ガイドや教職員、建設業界関係者ら研修を〝手弁当〟で計11回計画した。

 糸木名小体育館で午前中あった出前授業には、同校児童・教職員・保護者など約25人が参加。世界自然遺産の島を形成する生物多様性の座学を交え、校内の植物についても学んだ。

 午後からのガイド研修会には、同育成研修者や教職員、一般希望者ら含め計17人が参加した。島内各地からサンプリングした①シダ・竹類②希少種③既存・普通種④外来種の4コーナー・約70種の枝葉を鈴木氏が分類・解説した。

 参加者たちは、日ごろは気にも留めない自生植物の一つタイワンソクズ(スイカズラ科)の多数の小花はじつは、花びらと蜜壺が別々にあって蟻を待っていること。雑草と思っていたベニバラボロギク(キク科)は終戦直後まで食用だったこと。アダン(タコノキ科)の葉のトゲは中間付近から逆になっていたことなど、新たな発見に「へえ~」と感嘆の声を連発。

 この後、阿権浜海岸沿いに移動し、植生観察のフィールドワークでもスキルを高め合った。

 講師を務めた鈴木氏は「世界自然遺産観光が一過性になる可能性もあるが、ガイドがいろんなことを説明するとリピーターも増えると思う。そのためにもガイドの皆さんは勉強をして欲しい。参加者の皆さん熱心だった」。

 虹の会の政武文理事長は「自然遺産登録によって自然観察のお客さんも多数来島される。日ごろ親しむ植物だが細かく観察すると品種の違いが混在。ガイドも知識をさらに深めて欲しい。本当に『へえ~』の連続だった」。参加者ガイドの一人・徳崇光さん(68)=伊仙町=は「(ガイドで)5、6年島内を回っているが、季節によっても咲く花も違っている。大変参考になった」と話していた。