笠利中で「ハンセン病学習」

ハンセン病の人権回復をテーマに講話する有川さん(右)

 

 

正しい知識に耳傾けて
和光園・有川さん講師

 

 奄美市笠利町の笠利中学校(久津輪修一校長、生徒37人)は11日、同校体育館で土曜授業「ハンセン病問題に関する学習」を開いた。国立療養所奄美和光園の医療社会事業専門員・有川清四郎さんらを講師に招いて講話。生徒らは、ハンセン病の知識や差別の歴史などを知り、正しい知識に耳を傾けることの大切さを学んだ。

 講話のテーマは「ハンセン病における人権回復」。この日は保護者約10人も来校し耳を傾けた。

 有川さんはハンセン病について、日本では「恐ろしい伝染病」と誤った情報が発信され続け、強制隔離政策が行われた結果、患者らが世間から虐げられ続けた歴史を説明。ハンセン病は、治る病気などとわかって以降も訴訟が相次ぎ、「無知が偏見・差別を生んだ。理解されるまでに長い年月がかかりすぎた。無念の思いでこの世を去った患者や家族の気持ちを考えるとはかなさを感じる」と訴えた。

 有川さんは、先祖の墓に一緒に入れなかった無念さ、60年以上に渡って家族と離れ離れになった理不尽さなど、同園入所者の体験談も紹介。「正しい知識を伝えていくことで偏見や差別はなくなると信じている。みんなもできる所から始めてほしい」と呼び掛けた。

 授業ではこのほか、同校の人権教育員・野口淑子教諭もハンセン病の歴史や実態などについて講義。伝言ゲームでは、大勢が係わることで言葉が変わっていくことなども学んだ。

 2年の永田和那さんは「深く知れてよかった。偏見や差別がなくなるようみんなと話し合っていきたい」と話した。