鹿県に76億円交付金

物価高騰影響 緩和へ国の総合緊急対策
幅広く活用、補正案提出

 物価高騰による影響を緩和するため、国は総合緊急対策を策定したが、同対策では地方創生臨時交付金が拡充され、鹿児島県には交付限度額として76億6200万円余りが地方単独事業の財源として示された。県ではコロナ禍において原油価格、物価高騰に直面する生活者、事業者の負担軽減のため幅広く活用する方針で、補正予算として計上し、開会中の6月定例県議会に追加提案する予定だ。

 同議会での一般質問に対する答弁で山本周総務部長が明らかにした。国の総合緊急対策は、物価高影響への対応を緊急・機動的に実施するとともに、コロナ禍からの経済社会の回復を確かなものとするため、4月26日に原油価格高騰対策、エネルギー・原材料・食料等安定供給対策、新たな価格体系の円滑化に向けた中小企業対策、コロナ禍において物価高騰に直面する生活困窮者対策などへの支援を柱としている。

 同対策について山本部長は「本県の基幹産業である農林水産業をはじめ原油価格高騰の影響を受けている幅広い業種への支援が盛り込まれるとともに、地方自治体が生活者や事業者の支援に幅広く活用できる交付金が確保されるなど評価される内容」との見解を示した。

 拡充された地方創生臨時交付金は、鹿県には76億円余りが交付される見通し。この交付金は生活困窮者支援、学校給食の負担軽減など子育て世帯支援、農林水産業者や運輸交通分野をはじめとする中小業者の支援など地域の実態に応じて実施する事業に幅広く活用できる。県では同対策の内容を踏まえ速やかに必要な対策を講じる考えで現在、今回の交付金を活用した生活者や事業者の負担軽減のための具体的な取り組みについて、国から示された活用例を踏まえながら検討を進めている。

 地方創生臨時交付金は市町村も活用できる。各市町村では、総合緊急対策で拡充された地方創生臨時交付金を活用した生活者・事業者支援のための具体的な事業について検討中。山本部長の答弁によると、現在の時点で各市町村が発表している事業は生活者支援の事業例として、▽保護者等の負担軽減のための給食費の値上げ分の補助▽市民の負担軽減のための水道料金の基本料金減免にかかる減収分の補助▽市民生活の支援と消費喚起のためプレミアム率を付与した商品券発行―などがある。事業者支援のための事業例は、原油価格の高騰の影響を受けた中小企業事業者に対する経営の下支えのための補助など。