奄振審議会WEB併用会議

活発な意見が交わされた会議の模様

農畜産業の充実注文
沖縄との連携にも活発な意見

 【東京】第116回奄美群島振興開発審議会が14日、千代田区霞が関の中央合同庁舎第2号館12階国際会議室を拠点にWEB併用会議として開かれた。会議では「奄振」について、活発な意見が交わされた。また、新会長には、前副会長の石塚孔信氏(鹿児島大学法文教育学域法文学系教授)が選ばれた。

 同会議は、「2021年度に奄美群島の振興開発に関して講じた施策の報告等」を議事に9人の委員が出席し、石塚会長が進行した。事務局からは、農業用水の確保が難しく地下ダム整備に奄振を活用などした、地域の特性に即した農林水産業、商工業等の振興開発に関する施策が報告された。加えて雇用機会の拡充、観光の開発に関する施策から住宅及び生活環境の整備などについて説明された。

 高岡秀規氏(大島郡町村会会長)は、出席者へ奄振への理解に感謝を述べたあと「農業の振興に関する事業では、畜産業が対象になっていない。一方で、具体的な文言を入れたことで『ふるさと留学』につながった。観光事業では、沖縄との新たな連携が重要だ。中小企業を支える地域密着した基金も必要」などと発言した。

 伊村達児氏(伊村農園代表)は「牛が対象外とはどういうことなのか。畜産だけでは生活できず、ジャガイモの生産で奄振に世話になっている。ロシアのせいで飼料が高騰し先行きが厳しい」と生産者の立場(沖永良部島)から話した。

 司会の石塚氏も「畜産が農業の対象外とは驚いた」との感想だった。西みやび氏(西みやび事務所代表)は「(黒糖焼酎で)40度の物を贈るとブランデーのようだと大変喜ばれる。世界的に発信するモデル事業も必要ではないか」と黒糖焼酎について話した。この日、副会長に選任された海津ゆりえ氏(文教大学国際学部教授)は「世界遺産登録は奄美群島の一部なので、全体を見据えていきたい」と抱負を述べた。

 事務局からは「農業は10年前に『生産性の向上』を重点とした経緯がある。畜産を外したわけではない。沖縄との連携もどういうかたちでやっていくか、データを基に整理したい」との回答があった。その後、次回の開催日程を調整するなどと報告され閉会した。