48日間「日本一周」を達成

軽自動車で48日間の「日本一周」の旅を達成した泰良周治さん(74)勝子さん(77)夫妻=17日午前、徳之島・亀徳新港で


軽乗用車に車中泊しながら日本各地を巡った(提供写真)=9日、京都「天橋立」で

七十路の泰良さん夫妻(徳之島)、軽自動車で車中泊も
「自分たちの島が一番」

 【徳之島】黄色の「奄美」ナンバーの軽乗用車に車中泊もしながら「日本一周」に挑んだ徳之島の〝七十路のおしどり夫婦〟が17日、48日間の旅路を無事終えて帰島した。気ままにカーナビ頼りで一般道のみをたどる車旅。日本最北端の「宗谷岬」では想定外の寒さに震え、林道にも迷い込んだりしたが、温かい人情にも触れた。そして「小さいながらも自分たちの島が一番」を再認識した。

 「日本一周」を達成したのは徳之島町下久志の泰良周治さん(74)・勝子さん(77)夫妻だ。建設会社の重機オペレーターとして約50年従事、勝子さんは介護福祉分野に携わった。夫婦そろっての日本一周は長年の夢だったが約4年前、周治さんが大病を患って手術入院(約1カ月)して克服したのを契機に、実現に向け準備を進めてきたという。

 日ごろの足代わりの愛車に着替えや寝具(タオルケット1枚ずつ)、ポータブルガスコンロ、手なべ、イスなどを押し込んでフェリーで島を発ったのは5月1日夕のこと。入力など操作方法を懸命に習ったカーナビに全幅の信頼を寄せ、鹿児島市―宮崎―大分など太平洋沿岸、関門トンネルを抜けて山陽ルートをたどった。

 狭小スペースながら全行程のうち約半分は各地の国道沿いの「道の駅」など駐車場で車中泊した。天候不良時やシャワー・洗濯などは宿泊施設を利用。大阪では長女宅、東京では友人宅にそれぞれ3泊して交流。「未経験の高速道路は大型車が怖いため一般道を利用。銀座のど真ん中も走ったよ」(周治さん)。

 太平洋岸を北上して岩手県陸前高田市では「奇跡の一本松」モニュメントを前に復興も祈念。北海道を1週間かけて一周したが「夜は寒すぎてホテルを利用。食事も自炊どころではなく、もっぱらコンビニのお世話になった」(勝子さん)。北海道からは日本海沿岸から下った。

 北陸方面では車1台の通行も難しい林道に迷い込み、野生のシカやサルなども目撃した。鳥取砂丘から京都「天橋立(あまのはしだて)」にUターン後、四国に渡る予定が「混んだ4車線での車線変更に失敗して瀬戸大橋に進入できず、四国一周を断念したのは心残り」と周治さん。

 「奄美」ナンバーにみんな優しかった。佐渡島行きフェリー乗り場が分からず右往左往していると、家族連れが親身になって車で誘導してくれた。「奄美ってどこにあるの?」など問いには、2人は世界自然遺産登録の話題も含めPR役も務めた。

 2人は「今回の挑戦は、7年後の金婚に向けたいわば前祝いの記念です」。残念なことに、全走行距離の記録は「大阪で気づいてカウントを始めた。以降では約6千㌔程度」。ちなみに沖縄含む日本一周の場合「約1万2千㌔」とされ、泰良さん夫妻は1万㌔前後走破した可能性も。

 「徳之島に帰ってきてほっとした。小さな島だが住み慣れたところが一番。(夫婦)お互いの良いところもいっぱい分かった」と笑顔を輝かせた。