「ハジチ」の風習にふれる

「ハジチ」描きの実演を披露する講師の仙田さん(左)=18日、伊仙町総合体育館

 

 
参加者たちの「ハジチ」力作

 

 
根気強く約2時間、研磨を続けた「勾玉作り」体験も

 

 

「勾玉」作り体験も
伊仙町歴民館主催

 
 【徳之島】伊仙町歴史民俗資料館主催の体験講座「徳之島のいろは」の2022年度第1回講座「勾玉(まがたま)作り」と、第2回同の「匠(たくみ)の意匠」が18日、同町総合体育館であった。町内外から親子連れ約50人が参加。日本古来の装身具や祭祀用説のある勾玉と、明治期にかけた沖縄・奄美の女性たちの手の入れ墨「ハジチ(針突)」の風習とも学んだ。

 「徳之島のいろは」は、地域の特色ある埋蔵文化財活用事業体験イベントとして同資料館が21年度から年10回シリーズで開始。2年目の第1回「勾玉作り」は先月予定したが、新型コロナの島内情勢で延期して第2回と同日開催した。

 「ハジチ」は18年のNHK大河ドラマ「西郷どん」で、西郷どんの妻・愛加那役の手の甲でも紹介された幾何学模様状の入れ墨。大人への証や魔除けの意味もあり、琉球文化圏の女性たちには「誇りだった」説も。明治政府が禁止令で途絶えたという。

 講師は、「ハジチ」の風習の感銘を受けてその伝統文様をオマージュした「消えるタトゥーのボディーアート」に取り組んでいる仙田綾乃さん(53)=龍郷町=が務めた。看護実習時に奄美の高齢女性患者の手にあった実物に感動したことも紹介。「埋もれた文化は日本中にあるが、琉球・奄美にもそんなアイデンティティを持った女性がいたことを知って欲しい」とも。

 参加者たちは、仙田さんの実演やサンプル画をもとに、肌にやさしいボディ・ペイント用のインクで自分たちの手に描いた。徳之島町亀津から長男(小1)と参加した森智美さん(38)は「ハジチの文化を知ることができた。デザイン性もすごいと思った」と感想を話した。

 一方、「勾玉作り」では同館の榎本美里学芸員を講師に、硬い滑石(体験用キット)を紙やすりや耐水ペーパー、布の順に約2時間、根気強く磨き上げ、自分だけの宝物を作り出していた。