奄美群島文化財保護対策協

3年ぶりにあった奄美群島文化財保護対策連絡協総会・研修会=21日、徳之島町生涯学習センター

「環境文化型」保護・活用を 「井之川夏目踊り」が県代表に
徳之島町で

 【徳之島】奄美群島文化財保護対策連絡協議会(四本延宏会長)の2022年度総会・研修会が21日、徳之島町生涯学習センターであった。文化財の保存に尽力する「亀津浜踊り保存会」など3組を表彰。県の地区文化財行政・重点施策説明で、九州地区民俗芸能大会の本県代表に同町「井之川夏目踊り」が決定。事例発表や各市町村の課題報告などで研さん交流した。

 新型コロナの影響で3年ぶりに開催。各市町村文化財保護審議委員や行政担当者、県大島教育事務所(同連絡協事務局)など関係者約50人が出席。四本会長はあいさつで「奄美大島・徳之島の世界自然遺産登録は大変喜ばしい。支えたのは私たち人間の文化。連携して環境文化型の奄美群島国立公園と文化財を保護・活用していこう」と一層の連携を呼び掛けた。

 県大島教育事務所の説明によると、「井之川夏目踊り」保存会(県無形民俗文化財)は、本県唯一の代表として11月13日、沖縄県浦添市で開催される第64回九州地区民俗芸能大会への出場が決まった。ほか、県文化財課は「県文化財保護行政の概要」で、奄美群島の先史時代の墓制および文化交流の実態を探る上で重要な伊仙町佐弁「トマチン遺跡」の県文化財指定(4月)も改めて報告・解説した。

 事例発表では、徳之島町文化財保護審議委員の重久勇さん(67)が約10年前から調査した「同町の海岸マップ」の一端を紹介。海岸線や礁池など各ポイントの方言・通称名に地形の特徴や使用目的、魚類名、人の名(釣人)などが当てられたこと。同町亀津・亀徳の臨海埋立て地区などでは名称の〝埋没〟も指摘。質疑では「記憶を記録として残すことは重要」との称賛の声も。

 各市町村間の文化財の保存・継承に関する事業の情報共有(意見交流)では、奄美市・大和村・知名町から、伝統建築の高床式倉庫「高倉」のかやぶき屋根のふき替え作業を担う「後継者不足」の共通の悩みも。ほか少子高齢化や過疎化で無形民俗文化財の保存・継承が危ぶまれている現状、コロナ禍が伝統芸能の練習や普及活動にも影を落としている実態などの報告もあった。

 22日は徳之島町内の文化財視察などを予定している。

 表彰は「亀津浜踊り保存会」のほか、個人2人▽与論町、菊秀史さん▽同、太田栄一さんが対象。