参院選鹿児島 与野党対決軸に激戦火ぶた

現職と新人5陣営が立候補を届け出た参院選鹿児島選挙区の立候補受付会場(県庁6階会議室)

1議席めぐり5人乱立
奄美群島での遊説も

22日公示された参院選鹿児島選挙区(改選数1)は、自民党現職に対し、野党と無所属の新人4人が挑む構図となった。各陣営とも県選管で立候補の届け出を済ませると、多くの候補者は鹿児島市内で出陣式を行い、集まった支持者らを前に政党や自らが掲げる政策などを訴え支援を呼び掛けた。最後はガンバロー三唱などで気勢を上げ、18日間の選挙戦をスタートさせた。

同選挙区には、4期目を目指す自民党現職の野村哲郎氏(78)、政治団体「参政党」新人の昇拓真氏(32)、無所属新人の西郷歩美氏(37)、4野党が推す立憲民主党新人の柳誠子氏(61)、NHK党新人の草尾敦氏(53)(届け出順)が出馬。1議席をめぐり5人が乱立する戦いとなった。

多くの陣営は同日、鹿児島市の中心部で出陣式。推薦する政党の幹部や地元選出の国会議員、県議のほか、支援する団体、業界の代表らも応援に駆け付け、集まった支持者らを前に候補者への支援などを呼び掛けた。会場周辺には各候補の政策などを記したのぼりが掲げられ、支援者らはそろいのハチマキやリボンなどを締め、選挙戦での一致団結をアピール。この日は、有権者の最も多い同市内を選挙カーで巡り、選挙戦をスタートさせた。

陣営関係者によると、選挙期間最初の週末となる25日以降、奄美大島を中心に奄美群島での遊説を開始することにしており、新人候補の陣営は「県内全域を精力的に回り、知名度アップを図りたい」としている。徳之島など南3島を含めた群島各地での遊説は、現職も含め6月末から7月初めにかけ、本格化するとみられる。

自民現職の野村候補は、鹿児島市浜町の複合施設「かんまちあ」で出陣式に臨んだ。「物価高や食の安全保障が問題になってきた。このままではスーパーに品物がなくなる時代もやってくる」と強調し「(4期目は)最後の仕上げとなる。食の安全保障を第一に取り組みたい」と訴えた。

政治団体「参政党」の昇候補は同市松原町の選挙事務所で出陣式を行った。「子どもたちが日本の伝統や文化を誇りに思える国づくり」などと、政治団体が掲げる政策を中心に訴えており、鹿児島大学前で遊説を行うなど若者世代からの支持獲得を狙い、既成政党との違いをアピールした。

西郷候補は同市山下町の鹿児島市中央公民館前で出陣式。近くに建つ西郷隆盛像をバックに、「鹿児島から初の女性国会議員を」などと訴え、地方分権の推進や歯止めがかからない地方の人口減少対策と少子化対策、奄美群島などの観光振興など重点政策を訴え、支持を求めた。

柳候補は、同市高麗町の甲突川右岸緑地公園で出陣式。立憲民主党の野間健衆院議員のほか、支援を受ける4野党の代表らがマイクを握り、反自民勢力の結集を呼び掛けた。最後にマイクを握った柳候補は「貧困と格差が広がる社会を変えるため全力で戦いたい」と力強く訴えた。

NHK党の草尾候補は同日、空路鹿児島入り。午前11時過ぎに県選管で届け出を済ませると、県庁で取材記者らを前に、同党が掲げる政策などに触れ、「年金受給者の受信料を免除する。NHKを見たい人は受信料を払う。見たくない人は払わない。スクランブル放送の実現を」などと訴えた。