偏見・差別のない社会願い

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ハンセン病問題 正しく理解へ啓発パネル展
奄美市

 県と奄美市は22日から28日の間、同市役所3階市民交流スペースで「ハンセン病問題を正しく理解するために~啓発パネル展~」を開催している=写真=。県では、厚生労働省が「らい予防法による被害者の名誉回復及び追悼の日」として定めた、6月22日を含む日曜日からの1週間を「ハンセン病問題を正しく理解する週間」と制定。その一環として開かれた啓発展示で、偏見・差別がない社会への願いを呼び掛けている。

 ハンセン病とは、病原性の弱い「らい菌」による慢性細菌感染症。日本では、1996年に「らい予防法」が廃止。それまで約90年続いた国の隔離政策に基づき作られた、各地のハンセン病療養所は現在、同病患者、回復者の生活の場となっている。しかし、根強く残る差別や偏見、または、高齢化を理由に入所者の社会復帰が、困難となっていることなどが問題となっている。

 ハンセン病療養所は22年6月現在、全国に国立療養所が13カ所、私立療養所が1カ所あり、入所者の平均年齢は88歳を超えている。県内の療養所は、同市名瀬の奄美和光園(入所数17人)と鹿屋市星塚の星塚敬愛園(同81人)の2カ所。

 展示内容は、▽ハンセン病問題の歴史にかかるパネル・写真・ポスター▽奄美和光園自治会・星塚敬愛園入所者のメッセージ▽同療養所入所者による絵画・手編みの帽子の作品―など。他にも、同病に関する複数の関連書籍が置かれている。

 同パネル展を担当した同市健康増進課の當田加奈子さんは「ぜひ足を運んでご覧になっていただき、ハンセン病問題を考える機会となれば」と話した。

 また同課は、ハンセン病患者の体験談を元にアニメーション化した動画、「みんなちがう、みんなおなじ~へんけん・さべつのない社会へ~」を制作。DVDによる貸し出しの他、Youtube=QRコード=で公開している。