40年間ボランティアで美化作業

和光バイパスの植木伐採をする上野サイクル商会の上野幸男さん

名瀬市街地の国道、新川も
上野さん「清掃は自分自身の楽しみ」

 「うちの人生は、新川と国道と共にあります」と話すのは、奄美市名瀬石橋町の上野幸男さん(80)。名瀬市街地国道の美化活動を40年、そして新川の清掃を20年間、ボランティアで続けている。「清掃は楽しいからやっている。草を刈ってきれいになった景色を見るのは気持ちいい。何よりみんなが喜ぶのがうれしい」という上野さん。

 23日早朝、この日も上野さんは剪定=せんてい=バサミとほうきを手に、和光バイパス坂下に茂る植木の伐採作業に取り掛かった。トンネル出口から永田橋交差点までは坂道で、朝は通勤通学の自転車も多い。路地からの視界を良くするために植木の下部分も刈り上げ、美観だけではなく安全面にも配慮する。

 上野さんが古見本通りの清掃を始めたのは1982年。89年からは、道路沿いにユリを植える美化活動にも取り組んできた。2005年に和光トンネルが開通すると「名瀬市街地の表玄関をきれいにしたい」との思いで、バイパスの美化活動を開始。

 清掃だけではなく、通学路などの危険箇所を市や県に報告し、多くの標識設置にもつながったという。早朝の伐採作業中には、道行く人たちと「おはよう」「いってらっしゃい」と声を交わす。

 そんな上野さんも今年8月で81歳。体力的にはまだまだ大丈夫と言いながら、「交通量の多い国道沿いでの作業は常に危険が伴う。自分が事故に遭うことで人に迷惑をかけたくない」と、今回でボランティア作業は最後にする決意をしたという。

 上野さんのボランティア活動を長年見てきた「さくら鍼灸整骨院(名瀬伊津部町)の中村陽一院長は「トンネル開通以来、清掃活動と子どもたちの安全を見守ってきた優しさあふれる人。長い間ほんとうにお疲れさま。そしてありがとうございました」と、上野さんへの感謝を語った。

 「好き勝手に、やりたいことをやってきた。そんな自分を静かに見守ってくれた妻(ミヨ子さん・76)がいたからこそ」と40年を振り返る上野さん。「でも新川の清掃は(ウナギと遊びながら)ずっと続けていくよ」と笑顔を見せた。