危険潮位「1・8㍍」周知へ

宇検村で開かれた「高潮危険潮位住民説明会」(24日、生涯学習センター・元気の出る館)

個別避難計画運用の重要性を学ぶ
宇検村・住民説明会

宇検村は24日、津波・高潮時の浸水を想定した、集落ごとの避難のあり方、個別避難計画を考察する「高潮危険潮位住民説明会」を開いた。同村防災アドバイザーを務める鹿児島大学共通教育センター教授・岩船昌起氏、名瀬測候所地域防災官・宮崎隆盛氏が講演。各集落の区長他、同村各分団の消防団員ら約40人が参加。高潮と津波の発生の仕組み、危険潮位「1・8㍍」と高潮警報・注意報との関連、集落ごとの標高データを解説。これらを踏まえた個別避難計画の活用・運用の必要性を学んだ。

同村では、2021年度から県防災アドバイザー制度を利用し、同年改正された災害対策基本法に伴い、各市町村で努力義務が必要とする「個別避難計画」の策定を進めている。今年2、3月には、岩船教授による同村13集落の測量調査を実施。5月の同村防災会議では、同調査に基づき高潮の危険潮位を「1・8㍍」とする修正案を承認。年度内にはこれを踏まえ、現行の高潮警報2・4㍍、注意報1・5㍍が改定される予定。

同会は、宮崎氏による「宇検村の高潮と津波」と題した講演から開始。同村の地形と風向などの解説とともに、高潮・高波が起きた際、30、40分で避難が必要なことなどを伝えた。

続いて岩船教授は「『危険潮位』と現行『高潮警報』など~標高データに基づき、集落ごとに活用を考える~」と題し講演。同村は、険しい山に囲まれながらも居住地は標高5㍍以下の沖積低地に集まる、群島内で多く見られる典型的な「高い島」と説明。各集落の測量データを伝え、特に「湯湾(干拓地)」「名柄」「部連」は標高が低いと指摘。高潮災害時の各土地の標高把握の重要性とともに、個別避難計画とそれに基づいた、防災訓練の実施、評価、改善といった「PDCA」運用の必要性が伝えられた。

同会に参加した、宇検村区町会の会長、湯湾集落の区長・藤村茂樹さんは「形だけではない『自主防災組織』の編成が必要だと感じた。避難、命を守る意識は住民個人によるが、個別避難計画の実施は、集落の課題として取り組んでいきたい」と語った。