奄美空港内で水際対策強化

標本を見て禁止種クワガタの特徴を学ぶ参加者ら

希少動植物密輸の研修会
世界自然遺産推進共

世界自然遺産推進共同体(日本航空㈱奄美営業所)は27日、奄美市笠利町の奄美空港で「希少野生動植物の密猟・密輸」に関する研修会を開いた。同空港関係者を対象に、環境省(奄美群島国立公園管理事務所)の2人が講義。違法捕獲・採取が疑われる野生動植物発見時の対応策や、確認手段などについて理解を深めた。

空港内での密輸対策を継続的に取り組むために、昨年6月に続き実施。航空3社(JAL、ピーチ、スカイマーク)の職員と関係者など、9人が出席した。

講師を務めた環境省(同)の釣谷洋輔さんと田口知宏さんは、▽希少種保護の必要性や、遺産登録後の課題・取り組み▽捕獲・採取の禁止種と関係法令▽不審事案発生時の連絡・連携体制の確認―などについて説明した。

希少種の密猟は種が絶滅する可能性があり、生物多様性の中の「遺伝子の多様性」を壊しかねない案件。対策として、①空港における来島者への違法捕獲の普及啓発活動②島内の監視③空港への持ち出し監視の強化―などを挙げ、水際対策の必要性と、そのための空港と環境省との連携の重要性を提言した。

また、違法捕獲や密輸されやすい生物・昆虫などを写真で説明。この時期捕獲の増えるクワガタ類は、実物標本を見ながら大きさや姿形を学んだ。

島内の希少植物の盗掘被害は2018年ごろから多発している。昨年10月にも「ダイサギソウ」の被害が発生。種の保護と密輸発見のためには、地域の理解と協力が不可欠とし、田口さんは「今後さらに空港内の監視と関係者との連携を強化していく」と話した。