「奄美つのかがやき秀品率アップのための津之輝生産技術研修会」。摘果方法も実演で説明した
県園芸振興協議会大島支部果樹技術部会(浜田恭平部会長)主催の「奄美つのかがやき秀品率アップのための津之輝生産技術研修会」が28日、奄美市住用町上役勝にある「元井農園」で開かれ、津之輝生産・栽培予定者47人や関係機関職員ら計65人が参加した。研修会では、元井農園の元井孝信さんが園地の管理概要の説明をした後、県大島支庁農政普及課の松尾至身さん、県農業開発総合センター大島支場の坂上陽美さんが講師を務め、①奄美大島の津之輝の生産の推移・課題②津之輝の現地試験に関する取り組み成果③実証活動を含めた分析結果・方針提起④秀品率向上のための粗摘果の実際―をテーマにした説明があった。まとめの着果管理方針では「果皮体質の強い良質果づくり」「2L・3L階級割合の増加を目指し、7月極初旬までの粗摘果を完了する(横径35㍉以下、近接果除去)」「8月以降の時期ごとの適切な仕上げ摘果(毎月上旬の目安に準拠)」などの方針を提起した。
開会あいさつした浜田部会長は「この機会に日ごろの皆さんの疑問の解決につながれば良いと思う」と述べた。
元井さんの園では実証活動が行われているという。園地の管理概要を説明した元井さんは▽2016(平成28)年3月に2年苗を植え、同年12月に1年苗を植えた。木の高さに差がある▽1番のネックになるのは、収穫時期にM(階級)になる、小さいなあと思ったこと▽今年は早めに摘果を始め、6月2日ごろからスタートして小さい果実は全部落とすようにした▽その理由としてMを作らないようにした。この時期(6月初め)に小さい果実を落とすと、2L、3Lになる確率が50%以上になってくる。それを目指してやっている。どうしても大きくなって4Lもできるが、Mを作るぐらいだったら4Lができてもいい▽2L、3Lになると果皮が厚くなり、裂果も防げる。いろんな障害も防げると思ってやっている。3年ぐらい試験をして結果は出てきているので間違いないと思う▽園では1年間で18㌔ぐらい施肥している。その割合は、収穫時期で50%、春に30%、夏に20%ぐらい施肥―などと説明した。
参加者から「太陽対策としてのボードの使用方法」「堆肥の種類」「肥料の種類」などの質問が出た。
続いて、講師の2人から研修4テーマの説明があった。
まとめでは▽大果の早期除去は、いたずらに夏芽の発生を助長してしまう恐れがあるため、できるだけ控えるのが望ましい▽木の裾部・内部は小果が多く、着色面でも劣るため、ここのゾーンを主に粗摘果を実施する▽7月時点での小玉は小玉のままで、その後、果実肥大の差は逆転することはほぼない▽果皮の細胞分裂を盛んにするには、5月下旬の粗摘果(23㍉以下)がさらに効果的である▽細胞強化のためのカルシウムの効果的な施用方法を現在試験中―などと説明した。