海象事象の把握・走錨に注意を

「台風海難防止強調運動」期間にあわせ訪船指導が行われた(29日、名瀬港佐大熊地区)

台風海難防止強調運動
奄美海保・訪船指導

 6月21日~30日に第十管区海上保安本部で実施している「2022年度台風海難防止強調運動」にあわせ奄美海上保安部は29日、奄美市にある名瀬港佐大熊地区で訪船指導を実施した。台風常襲地帯の南九州及び奄美群島で、海難事故を防ぐことを目的に、海象気象の継続的な情報収集の他、走錨事故防止対策の必要性などを呼び掛けた。

 同保安部では、①台風情報の早期把握及び継続的な情報収集②早期避難及び保船対策の励行③適切な避難場所の選定及び事前調査・検討の実施④走錨を防ぐため安全対策の徹底⑤養殖漁場、港湾工事施設などからの資材などの流出防止措置の徹底⑥国際VHF(ch16)の常時聴取⑦自己救命策の三つの基本の励行―の7点を重要事項として挙げ運動を実施。今回の訪船活動は、10日に開催された名瀬港台風・津波対策委員会、各周知啓発活動とあわせて行われた。

 走錨とは、船舶が錨(いかり)を下ろしたまま流されること。2018年には、大阪湾で台風の影響によりタンカーが走錨。関西国際空港連絡橋に衝突する事故が発生している。

 この日同港に、大東汽船㈱(馬越広幸代表、愛媛県今治市)が所有する白油タンカー・陽幸丸(592㌧、7人乗り)が着港。月に3回ほど生活燃料(ガソリン・灯油・軽油)を同港に輸送しており、今回はガソリン300㌔・軽油120㌔・灯油60㌔。同港搬入前に、同保安部職員2人による訪船指導が実施された。

 訪船指導をした村井智哉専門官は「気象海象の情報収集の必要性を伝えたが、特に燃料を運ぶ船は、港での燃料受け入れに準備・撤収作業に時間が掛かる。人、船の安全確保を優先した、早めの対応をお願いした」と語った。

 説明を受けた同船の竹駒純船長は「岡山県倉敷市で(白油を)積むことが多いが、台風の進路情報を確認した際は、波の立たない瀬戸内海で台風が過ぎるまで停泊している。(今後も)早めに情報収集し、少しでも台風から離れて待機したい」と語った。