昆虫トラップ「全面禁止」条例化を

目立ちにくい樹上約6メートル付近に設置されていた昆虫トラップ=6月30日、伊仙町検福

昆虫トラップ設置者への〝警告文〟を設置する徳さんや集落区長ら

すれすれの規制対象外狙う 伊仙町で発見

【徳之島】法規制の網をかいくぐった昆虫トラップ(わな)での「規制対象外種」「規制区域外」を狙った大量捕獲による生態系への悪影響や、景観への影響も指摘されている中、伊仙町検福地区の町道沿いの民有林では30日までに計14個の設置が確認された。県希少動植物保護推進員や地元集落側は町に働きかけて「町道管理上」観点のみの〝警告書〟を掲示。あらためて「世界自然遺産の島」における同設置の全面禁止も含む条例化検討の必要性も訴えた。 

今回の発見場所は「伊仙町堆肥センター」や鍾乳洞「銀竜洞」(いずれも同町検福地内)に近い町道2路線の約3百メートル範囲の沿線。県希少動植物保護推進員で認定ガイドの徳崇光さん(68)=同町検福=が住民からの情報提供(29日)で確認した。設置者は不明だが、軽トラックに段ボール箱を積載した男性が一人でトラップを設置している姿が目撃されていた。

同昆虫トラップは、バナナを焼酎などに付け込んでストッキングに入れて樹木の枝に吊るすいわゆる「バナナトラップ」。昨年7月の世界自然遺産登録前には近くの「義名山の森」「カムィヤキの森」(奄美群島国立公園普通地域、国有林)エリア内に〝駆け込み的〟に大量に違法設置されていた。徳さんらNPO法人徳之島虹の会などの関係者は、今回も「国有林など規制区域を避けての同一人物の行為」の可能性も指摘する。

高さ約6メートル前後のトラップの直下に設置した町道管理上の〝警告文〟(町長名)のタイトルは「昆虫トラップ設置者の方へ」。「心無い昆虫採取者により、地域住民から悪臭や景観の阻害など苦情が相次いでいることを受け、設置者を把握中。(担当課に)連絡のないトラップは撤去します。町条例指定種(ヤマトサビクワガタなど)は捕獲が禁止されています」(要旨)などに留めている。

徳さんは「昆虫トラップによる捕獲は条例で全面禁止にすべきと思う。ストッキングには希少な規制種など目的外の昆虫も寄って絡まって死んでしまう。エリア内の樹上にはオビトカゲモドキ(国天然記念物)などもいる」と指摘する。

立ち会った上検福集落の琉清孝区長(67)も「国立公園や国有林など区域の内・外を問わず〝世界自然遺産の島は一つ〟と捉えた対策が必要。島外持ち出し禁止など法的権限がないと難しい」。下検福集落の琉太三区長(60)も「トラップの設置は町の許可制、許可証の発行とか仕組み作りも必要だ」と話した。