パナウル診療所再オープン

再スタートしたパナウル診療所のスタッフら=1日、与論町=

院長に就任した小林真介さん=1日、与論町=

与論 1日から診療開始
在宅サービスの充実図る

 【沖永良部】2021年3月、島民に惜しまれながら閉院した与論町のパナウル診療所が、新たなスタートを切った。医療法人社団「悠翔会」(本部・東京、佐々木淳理事長)が運営を引き継ぎ、1日から診療を始めている。

 悠翔会は、首都圏を中心に在宅医療を行うクリニックを展開。運営する医療機関は、東京や埼玉、愛知、沖縄など全21カ所。鹿児島では与論町のみ。

 院長に就任した小林真介さん(42)は埼玉県出身。鹿児島大学医学部在籍中にパナウル診療所で離島実習を経験し、診療所を開設した元院長の古川誠二さんのもとで離島医療について学んだ。

 スタッフ数は、医師1人、看護師2人、事務スタッフ3人。そのうち4人は地元から採用した。

 看護師の嶺島浩子さん(54)は、閉院前の診療所で働いていたメンバーで、今回再雇用された。「この場所で再び働けると思っていなかったので夢のよう。診療所の再開を望んでいた町民も多かったので本当に良かった」と喜ぶ。

 開院初日、午前の診療には町民16人が来院。午後も多くの町民が訪れた。

 診察を終えた女性(72)は「再開してくれて安心した。小林先生も早く島になじんでほしい」と話した。

 院長の小林さんは「学生時代に来た与論島が忘れられなかった。島の医療に携わる機会を得たことに縁を感じている。法人の強みを生かしながら、在宅サービスの充実を図っていきたい」と語った。