受入1、多言語登録も1

新型コロナウイルス感染症の外国人患者を受け入れる機関は、奄美では県立大島病院のみとなっている

外国人観光客 コロナ感染、奄美の医療対応

 国は、添乗員付きパッケージツアーによる外国人観光客の受け入れを先月10日から開始したが、こうした外国人観光客が新型コロナウイルスに感染した場合、受け入れる機関は県内で12施設となっている。奄美群島は県立大島病院のみで、診療時などの会話を可能とするため鹿児島県多言語コールセンターに登録も同病院のみとなっており、世界自然遺産に登録された中、外国人観光客増加時のコロナ対応はまだ不十分な状況だ。

 新型コロナ感染症対策で、外国人観光客への対応策は6月定例県議会でも取り上げられた。県くらし保健福祉部によると、本県における新型コロナ感染者への対応は国籍を問わず「原則医療機関への入所、または宿泊療養施設への入所」としている。新型コロナに感染した外国人患者を受け入れる機関は12施設あり、このほか60の診療検査医療機関が県多言語コールセンターに登録している。

 宿泊療養施設では、感染者の使用言語に応じて英語やベトナム語などの入所のしおりや健康観察票を準備。提供する食事に使われる材料は食物アレルギーや宗教上の制限にも対応しているという。また、コロナ相談かごしまでは中国語、韓国語、スペイン語など7カ国語に対応しているほか、国も外国人を対象とした新型コロナ感染症対応のための電話通信サービスを実施している。

 ツアー受け入れにあたって国は、マスク着用など外国人観光客に求める対策(順守)をガイドラインにまとめ公表。この中では、感染拡大防止のために各観光関係者が留意すべき事項や陽性者発生時を含む緊急時の対応など示しており、ツアー参加者が陽性者となった場合の入院医療費については「自治体から当該陽性者に対し、加入している民間医療保険の補償額の範囲内で自己負担を求められる旨、ツアー参加者に対して説明すること」としている。

 公表されたガイドラインついて県の見解は「(ガイドラインでは)ツアーを請け負う旅行業者等に対し、新型コロナ感染者が発生した場合の医療機関への受診や濃厚接触者の特定などの対応を求めていることから、県としては県内旅行業者に対しガイドラインの内容を重視するよう要請する」というもの。旅行業者には、県内の多言語対応可能な医療機関などに関する情報提供も行っている。また医療費について県はガイドラインに示されている通り海外旅行保険への加入が条件となっていることから、この保険の範囲内で自己負担を求めた上で不足する部分は公費負担とする考えだ。