がん教育「いのちの授業」

オンラインで講師の話を真剣に聞く生徒たち

悩んだとき「助けを求めて」
古仁屋高で

 県立古仁屋高校(米澤瑞代校長、生徒84人)は12日、1年生19人を対象に、がん教育「いのちの授業」を行った。オンラインで、NPO法人がんサポートかごしまの理事長で自らががん患者となった、三好綾さんが講師を務め、前半は「がんという病気のこと」、後半は「がん患者は全て治るのか」をテーマに講話を行い、生徒たちは真剣に三好さんの話に耳を傾けた。

 「がんという病気のこと」では、生徒からの質問に三好さんが答える形で行われ「がんをどうやって見つけたか」「がんをすぐに受け入れられたか」「患者を元気づける方法は」などの質問に、がん患者としての心情や、がん患者のサポートでの体験を交えながら、一つ一つの質問に回答した。

 「がん患者は全て治るのか?」では、がんで亡くなった友人の、上水流政美さんが余命宣告を受けた後、前向きに自分らしく、いろいろなことに挑戦し続けた生涯について講話。上水流さんが最後に行った「いのちの授業」で残した言葉「未来に生きるあなたたちに、いのちをバトンタッチします。かけがえのないあなたらしい人生を楽しんでね。素敵な出会いをありがとう」が伝えられた。

 三好さんは最後に「今日聞いた話を、家に帰ってもう一度考えてください」と話し、「つらく死にたいと思ったら、人に話して助けを求めて。必ず助けてくれる人がいる。絶対に死なないで」と呼び掛けた。

 がん教育は、一部のモデル校などで実施されてきたが、文部科学省の新学習指導要綱に基づき、2021年度から中学校、22年度から高校で指導を行うことになっている。

 米澤校長は「いじめなどの観点から、命の大切さは話しているが、実際のがん患者の話を聞き、違う観点から考える良い機会になった」と話した。

 学級代表の五十嵐澄空さんは「授業を通して命の大切さを学び、自分だけでなく家族や周りの人たちが、そのようなことになったとき、大きく手助けになると感じた。ありがとうございました」とお礼を述べた。