送迎や付き添い任せて

サービス内容を説明する松田さん(奄美新聞社で)

離島から県本土への入院・通院
「おでかけ同行サービス」開始 鹿児島市内に事業所

 離島に居住し県本土の医療機関に入院や通院が必要となった場合、高齢者などの1人での移動不安を解消しようと、港や空港までの送迎、病院受診時の付き添いなどを手伝う取り組みが開始されている。「おでかけ同行サービス」で、専門的な知識を備えた看護師や介護士がスタッフとなっており、安心して気軽な利用を呼びかけている。

 屋久島出身の松田れんげさん(36)が代表を務める鹿児島市内にある事業所「あそっがほい」(鹿児島弁で遊ぼう、コロナ禍でも楽しいことができるようにしたい気持ちを込め事業所名に)。今年3月に立ち上げ、5月から事業を開始したばかり。

 デイサービスや有料老人ホームで勤務し、管理者と施設長を経験したという松田さんのほか、徳之島出身の看護師、鹿児島本土出身の介護士の3人で運営。屋久島で暮らす松田さんの母親が高齢となり、鹿児島本土への通院や旅行など慣れない遠出を1人ですることに不安を感じるようになったことが事業開始のきっかけ。松田さんは「私と同じように、島での暮らしならではの悩みを持っている方々がいるのではないか。島で暮らす方々の気持ちに寄り添い、何かお手伝いできることはないか、そんな思いから今回のサービス開始に至った」と説明する。

 サービス内容は、県内を対象に▽港や空港までの送迎(車いすで乗り込める福祉車両も所有)▽病院受診時の付き添い・介助・医師の指示の聞き取り▽旅行・観光・買い物・宿泊の付き添い・介助▽退院・帰島時の自宅までの付き添い▽入院中の洗濯物や必要物品購入の代行―というもの。1人暮らしの高齢者、家族が同居あるいは島内にいても同行しての鹿児島市内の医療機関受診が困難な場合、県本土まで移動すれば車での港・空港までの迎えから始まり付き添い、医師の指示の聞き取りも行い、再び車で港・空港まで送る。松田さんは「同行するのは看護師や介護士の資格を持ったスタッフ。安心して任せてほしい。同じ離島出身者として島で暮らすみなさんの役に立つことができたら」と話す。

 こうしたサービスは介護保険の対象にならない。基本料金は自立コースでは半日(3・5時間)で1万3千円(8月末まではオープン記念で半額の6500円)、サポートが必要な支援コースなら1万6千円(同8千円)、7時間の1日ならそれぞれ倍近くとなる。「利用者にとって負担が大きいかもしれないが、家族の同行に伴う交通費や付き添いは必要ない。奄美大島や徳之島の福祉関係者や医療機関を訪ね、サービスの周知で利用につながるよう協力をお願いしている」と松田さん。自治体関係者にも協力を求める方針で、離島からの利用で行政の支援により負担軽減が図れたら、専門・高度の医療提供体制が整っている本土の医療機関の利用(入院・通院)が進みそうだ。

 おでかけ同行サービス「あそっがほい」問い合わせ先は電話050・8883・8326まで。