希少野生生物保護対策協・奄美大島

空港での水際対策やロードキル問題を共有した希少野生生物保護協奄美地区会合

官民の連携必要
ロードキル問題など協議

奄美群島希少野生生物保護協議会の奄美大島地区会合が22日、奄美市名瀬の奄美会館であった。環境省(奄美群島国立公園管理事務所)、県、奄美5市町村、民間自然保護団体など、関係者約30人が出席し、希少種保護の取り組みや課題を協議。ロードキル対策として防護ネットの設置や、モニタリング状況などを共有した。   

同協議会は、奄美群島の世界自然遺産としての価値の維持・改善を図り、希少野生生物の保護対策を関係機関と調整・協議するもの。
▽空港での生物大量持ち出しへの対応▽アマミノクロウサギのロードキル対策▽外来動植物防除の取り組み強化―などを協議した。

昨年度、奄美空港で捕獲規制対象種の持ち出し事案はなかったものの、シリケンイモリ(絶滅危惧種)など大量持ち出し案件が2件発生。水際対策の継続と来島者への周知啓発を、関係機関と連携し強化を図るとした。

アマミノクロウサギの交通事故は2年連続で過去最多を更新。多発路線の大和村マテリア線では21年9月、村と大和建友会で防護ネットを設置。現在まで交通事故はゼロ件だが、同路線付近で事故死体2件が回収された。今後も継続して防護ネットの効果を確認していく。また県の対策として、県道湯湾新村線と町道網野子峠線に侵入防止策と監視カメラの設置を計画。アマミノクロウサギの行動生態や、防止策の効果などをモニタリングすることを報告した。

特定外来種の防御については、▽ノネコ・ノヤギの排除▽ツユヒヨドリ(島内15カ所に定着確認)―の対策強化を挙げ、定期的・計画的な防御実施を提言した。

環境省(同)の阿部愼太郎所長は「希少野生生物の保護は、行政・住民・関係者それぞれの強固な連携が必要。世界自然遺産にふさわしい奄美大島の環境保護に取り組みたい」と話した。

会合後、参加者のうち12人は奄美空港に移動。来島者に希少野生生物保護の普及啓発活動と、AI画像アプリを活用した密猟研修を行った。