大島、攻守かみ合い快勝

【準決勝・国分中央―大島】3回裏大島一死一二塁、6番・前山が右前適時打を放ち3点目=平和リース

夏高校野球第15日

 

鹿実は延長戦を制す

【鹿児島】第104回全国高校野球選手権鹿児島大会第15日は22日、鹿児島市の平和リース球場で準決勝2試合があった。

奄美勢の第1シード大島は第3シード国分中央に7―0で7回コールド勝ちし初の決勝進出を決めた。鹿児島実は鹿屋中央との延長十一回の接戦をものにして2年連続の決勝進出を果たした。

23日は休養日。最終日は24日、同球場で午前10時5分から決勝がある。

試合結果は次の通り。

=平和リース球場=
◇準決勝第2試合
国分中央
0000000 0
023002× 7
大島
 (7回コールド)
【国】安藤、竹崎、前田―宇都
【大】大野―西田
▽二塁打 中(大)
(国)
255013200006
打安点振球犠盗併失残
291361322109
(大)

■22日その他の試合

【平和リース】▽準決勝 ①鹿児島実業7―3鹿屋中央(延長11回)

■24日決勝戦

【平和リース】鹿児島実業―大島(午前10時05分)

 【評】初回の好機をものにできなかった大島だったが二回裏、二死一二塁の場面で1番・有馬の中前適時打で先制。暴投で2点目を挙げた。三回は一死から3連打を浴びせて6番・前山の右前適時打で3点目を挙げ、8番・美島の左前2点適時打で点差を5点に広げた。四、五回は追加点を奪えなかったが、六回裏に5番・中の中越え二塁打、6番・前山の中前適時打で2点をダメ押した。エース大野は序盤から緩急を使った投球がさえ、国分中央打線に狙い球を絞らせず、散発5安打、13奪三振で完封した。

◎大島 課題修正、攻守がっちりかみ合う

【準決勝・国分中央―大島】最後の打者を力強い直球で三振に打ち取ったエース大野=平和リース

大島は準々決勝・出水中央戦での課題を3日間できっちり修正。主力数人にコロナ感染者が出てメンバー変更があった相手だったが、スキを見せずに攻守ががっちりかみ合ってコールド勝ちした。

三塁手・前山龍之助は2失策がすべて失点に絡み、打撃でも活躍できなかった。それでも塗木哲哉監督は前山を6番、三塁手で起用。「来た球を何が何でも打つ」とシンプルな姿勢に徹し、二回にチーム初安打、先制のホームを踏み、三、六回は適時打を放って2打点を挙げた。

「(監督の)期待に応えられて、(大野)稼頭央を打って助けられて良かった」と振り返った。守備も足を思い切りよく動かして無失策だった。打線全体も出水中央戦の終盤にみせた「打ってつなぐ」を序盤から実践し、優位に試合を進めた。

エース大野の投球は圧巻だった。出水中央戦では12安打6失点。「頭が前に出てしまっていてリリースが安定していなかった」と塗木監督。この3日間はトレーナーのもとでフォームを見直し、身体の軸を安定させ、自分の悪いところを試合中に修正できるようにした。

この日は「緩急を意識した」とこれまであまり使ってこなかった90㌔台のカーブも織り交ぜながら、相手打線に的を絞らせず、要所では最速145㌔の直球がうなりを上げてミットに突き刺さった。4強中唯一チーム打率が4割を超えていた相手打線を散発5安打に抑え、13三振を奪った。

この日の「出来は90点」と大野は言う。満点の投球は、昨夏準々決勝で苦杯をなめた鹿児島実との決勝戦で披露するつもりだ。(政純一郎)

◎「みんなと一緒に楽しく盛り上がる」
◎大島・富華愛マネジャー

ベンチに入ってスコアをつけるのは國分咲希、栄桜子と3年生の3人で毎試合交代して担当する。自分が担当するときは「みんなと一緒に楽しく盛り上がる」のを意識している。

試合中はベンチ最前列、監督に近いところで立ってスコアをつけるのがマネジャーの「定位置」。楽しんで盛り上がることは大事だが、冷静にスコアをつけてチームが必要とする情報を提供する仕事は忘れない。大野の球数が今何球なのか? 相手打者は前の打席でどうだったのか? 求められたらすぐに答えられるように準備する。裏方の仕事も含めて、マネジャーもチームが勝つために必要な「戦力」だ。

父や弟たちが野球好きだった影響で、自然と野球好きになっていた。小学生の頃21世紀枠で出場したセンバツ甲子園を見て「大高に入ったら野球部のマネジャーになろう」と決めていた。

この春、8年ぶりのセンバツ出場を、今度は一般枠でつかんだ。「日頃から『甲子園出場』を言い続けて、それを実現させた選手たちは本当にすごい」と心から思った。

さらなる悲願・夏の甲子園への挑戦権を得た。決勝戦のベンチは國分が入る。自分は三塁側のスタンドでの応援になる。控えの部員たちをはじめ、島からも大勢の応援が駆け付ける予定の決勝戦。一緒に楽しく盛り上がりつつ、試合前日の練習、試合前…マネジャー全員で協力し、やるべき仕事はきっちりやって、悲願達成に貢献するつもりだ。(政純一郎)