全てをぶつける意気込みの大島のエース大野（右）、打者としても非凡な才を発揮する鹿実・赤嵜
【鹿児島】第１０４回全国高校野球選手権鹿児島大会最終日は24日、鹿児島市の平和リース球場で午前10時５分から鹿児島実―大島の決勝がある。
ノーシードながら、鹿実は伝統校らしい勝負強さを発揮し、県内最多タイとなる４年ぶり20回目の夏を虎視眈々とうかがう。第１シード大島は初の決勝進出を果たし、春に続く悲願の夏の甲子園初出場に挑む。
鹿実は赤嵜智哉、大島は大野稼頭央、どちらも大黒柱となる左腕エースを擁する。両左腕がベスト投球をすれば得点は難しく、２、３点、多くても４、５点の勝負だろうか。前半は我慢の展開で後半勝負になると予想する。
打線も勝負強さを発揮しここまで勝ち上がってきた。鹿実は永井琳、大島は西田心太朗、両４番が頼りになる存在であり、鹿実は５番・濵﨑綜馬、大島は８番・美島永宝、ラッキーボーイ的な活躍をしている打者がいる点も共通している。
昨秋は２回戦で鹿屋中央、今春は準々決勝で神村学園、ＮＨＫ旗は１回戦で鹿児島玉龍に敗れ、鹿実は今大会10年ぶりとなる夏ノーシードからのスタートとなった。昨夏以降、左ひじの疲労骨折でマウンドから遠ざかっていた赤嵜の復活が何より大きい。「決勝で大野君と投げ合うのが目標だった」と宮下正一監督。その舞台が整い、長年鹿児島の強豪の看板を背負ってきたプライドをかけて大島に挑む。
対する大島にとっても鹿実は特別な相手だ。昨夏も準々決勝で対戦し０―８で七回コールド負けだった。このとき、２年生だった大野は赤嵜と投げ合って敗れているだけに雪辱の想いは強い。「１人１人に丁寧な配球を心掛けたい。この一戦に全てをぶつける」と意気込む。13年春に４強入りして以降、この10年間で樟南、神村学園、鹿児島城西といった強豪私学から勝ち星を得てきた中で、唯一勝ち星がないのが鹿実。大島が目指す「甲子園で勝つ」（武田涼雅主将）力があるかどうかを図る上でも絶好の相手といえる。
両者ともここまでの戦いぶりから測る戦力では甲乙つけがたく、総力戦となるだろう。甲子園への執念で勝った方に１０４回目の栄冠が輝くだろう。
（政純一郎）