大島、Vならず

悔し涙をこらえ、相手側応援席にあいさつする大島ナイン=平和リース

鹿実に2―3で惜敗
「夢は次の世代へ」
夏高校野球最終日

 【鹿児島】第104回全国高校野球選手権鹿児島大会最終日は24日、鹿児島市の平和リース球場で決勝があった。初の決勝に進んだ大島は鹿児島実に2―3で敗れ、春夏連続となる甲子園出場は果たせなかった。

 大島・大野、鹿実・赤嵜、両左腕エースの好投で1点を争う緊迫した展開に。大島は六、七回で3失点し劣勢を強いられた。九回二死から粘りを見せ、代打・青木の左翼線二塁打で2点を返し1点差に詰め寄る。なおも同点の好機だったが反撃もここまでだった。

 球場には大勢の観客が詰めかけ、外野席まで急きょ開放したほどの大入りとなった。初の夏の甲子園出場は逃した大島だったが、三塁側の大島応援席からは「よくやった!」「顔を上げて!」と惜しみない拍手と声援が送られた。

(政純一郎)

 大島・塗木哲哉監督 ナイスゲームだった。苦しい流れの中で、最後まで自分たちの野球をやり切ってくれた。最後の結果は勝負のあや。甲子園は果たせなかったけれど、その夢はこの試合を見ていた次の世代の大島の子たちがきっと叶えてくれる。

地元関係者ら感謝の声
夢、希望、感動「次の島の力に」
最後まで大高らしさ

 試合に敗れはしたものの、最後まで大高らしい戦いを繰り広げた選手へは、地元関係者からも感謝の言葉が相次いだ。

 現地で応援した県立大島高校同窓会安陵会の山田摩理子会長(68)は「堂々と迎え撃つという戦い方には誇りを感じた。若き少年たちがくれた風、大きなうねりはこれからの島の力になる。またここからが始まり。この勢いを島の経済、文化へとつなぎたい」と感謝。「球場には島民だけでなく県外の若いOB・卒業生らも島のために集まって団結、すごい島に住んでいると再認識もした。選手にはありがとうの言葉を伝えたい」と語った。

 歴代野球部OBでつくる安陵球児会の前里佐喜二郎会長(67)は「残念だったが、最後まで期待させてくれる大高らしい野球に感動をもらった。粘り強く戦った選手に感謝し、夢をありがとうといいたい」とたたえ、「念願の〝島に甲子園を〟と身近に感じさせてくれる一年だった。(後輩たちへは)この魂を受け継いで頑張っていってほしい」と話した。

 大島高校野球部保護者会の西田哲会長(50)は「結果は残念だったが最後まで頑張った。(春の)甲子園後は調子を落としたが、一丸で大高らしさを発揮、この一年は島の野球、子どもにたくさんの希望を与えてくれた」と称賛。この日は現地で声を上げ、「球場には大勢の人が駆け付け後押ししてくれた。選手には大きな力となった。支えてくれた先生、島民、すべての人に感謝したい」と気持ちを表した。

 大島高校PTA前会長の永元和幸さん(53)は、「(試合が終わったばかりで)悔しさばかりが先立つかもしれないが、選手たちは頑張った。堂々と胸を張って帰ってきてもらいたい」と述べ、選手と身近に関わった一年を振り返り、「ずっと前向きに取り組み、あきらめないことで一回りも二回りも成長してきた。これをバネにいい大人へと歩んでほしい」と呼び掛けた。