大島地区7月子牛セリ

平均60万台割り込み57万円
下落続きも下げ止まりか 産歴若く発育良好は高値取引

 JA県経済連肉用牛課奄美市駐在は、7月の大島地区子牛セリ市結果をまとめ公表した。子牛市況の総平均は57万178円となり、前回(5月セリ)比4万6917円も下落した。60万円台を割り込んだのは2020年9月セリ(平均58万4千円)以来。飼料高騰などにより子牛価格の大幅下落が続いているが、下げ止まりの見方も出ている。

 今回のセリは今月4、5日の徳之島から開始。台風4号の影響で航空便およびフェリーが欠航となったため、与論を8日、沖永良部を9~10日に延期しての開催となった。

 全体の入場頭数は1794頭(雌735頭、去勢1059頭)で、全て売却。平均価格は雌51万6060円(前回比2万8530円安)、去勢60万7738円(同5万6476円安)となった。

 合計平均価格にかかわる市場ごとの順位をみると、奄美大島の58万4608円を筆頭に、与論、徳之島、沖永良部、喜界の順。購買者から見た子牛価格の指標である平均単価で市場を格付けすると、沖永良部の2200円(キロあたり)を筆頭に、徳之島2128円、与論2084円、奄美大島2083円、喜界2021円の順。セリ日齢にかかわる市場ごとの若齢順位は、喜界245日、沖永良部253日、徳之島259日、奄美大島261日、与論268日の順となっている。

 今回の市況結果について同駐在は「5月中旬以降、飼料高騰等による肥育農家の経営圧迫により子牛価格が大幅に下落し、さらに7~9月期の配合飼料価格が全国畜種平均約1万1400円の値上げが発表されたため、さらなる下落が心配されたが今のところ下げ止まっている様子」と指摘。与論と沖永良部は、▽前回(5月)が高値であった▽延期により通常より購買者が少なかった▽子牛商品性のバラつきが大きかった―ことが、下げ幅が大きくなった要因という。

 全体的に相場は下落しているが、「産歴が若く、発育良好(フレームのしっかりとした牛、前躯・腹袋の充実した牛)は引き合いが強く、高値で取り引きされている」状況にある。これが求められる子牛づくりであり、同駐在は「今一度、購買者の求める、欲しい子牛づくりを見つめ直し、高値で取り引きされるような子牛が多く上場できるよう努めてほしい」と呼び掛けている。

 今後も飼料高騰の影響が懸念されている。同駐在は生産農家に対し、①構築されている肉用牛生産者補給金制度(子牛価格の安定)や肉用牛経営安定対策補完事業(繁殖雌牛の導入・淘汰)などの事業活用②粗飼料の自給率向上・子牛の商品性向上・繁殖成績の向上(分娩間隔の短縮・事故率の低下など)―に取り組み、経営基盤強化に努めるよう求めている。