採石事業計画に反対し、説明会の途中で退席する住民が続出した
奄美市住用町戸玉集落(20世帯、42人)で新たな岩石採取を計画している㈱伸東砕石(本社・同市住用町)と共同事業者の奥村組土木興業㈱(本社・大阪市)による、事業説明会が31日、同集落生活館で行われた。同集落の住民ら25人が出席、奥村組土木興業の担当者らが、同集落周辺で岩石採取を計画していることを報告。事業計画について説明しようとしたが、採石に反対する住民らが反発、具体的内容に関する協議は行われないまま説明会は終了した。
説明会では、冒頭に同社の担当者が同集落東側の海に突き出た山周辺で、岩石採取を計画していることを報告。これに対し、住民からは、「山が削り取られてしまうと、台風などで風が集落に直接吹き付け、災害が起きる可能性が高くなる」などとして反対、山を削り取ることを前提とした説明会の実施に反発した。
同社の担当者は環境シミュレーション調査で、山がなくなっても集落に当たる風の強さに大きな影響はないことなどを説明した上で、「住民の反対を押し切って事業を行うことはない」などと理解を求めたが、住民らは「景観も含め、現状変更を認めることはできない」などとし、事業計画に断固反対する姿勢を示した。
同集落などによると、今回、岩石採取が計画されている場所は、10年ほど前まで、別の業者が採石事業を行っていた山。その後、伸東砕石が事業を引き継ぎ、県に林地開発許可などの申請をしているものの、現在、採石事業は行われていない。
今回、採石が計画されている土地については、2006年に当時の採石業者と集落との間で、台風時の高波、暴風対策などから山を現状のまま残すことに同意。14年には伸東砕石との間でも同様の条件に同意することが確認されている。
同集落の浦口一弘区長(68)は、「戸玉集落は四方八方で採石が行われ、住民はダンプカーや重機による騒音、粉じんに長年苦しんでいる。現在行われている採石も含め、すべての事業を中止してほしいというのが住民の総意。さらに採石を認めることなど考えられない」と話した。
同集落周辺では、今回の事業計画のほかにも、別の業者が所有する複数の採石場が点在、住民らは県に対し、事業許可しないよう要望活動なども行ったが、採石は続けられている。