徳之島、伊仙両町肉用牛振興会

会員生産の子牛が「鹿児島黒牛」に肥育され〝里帰り〟。感慨もひとしおに荷受けした関係者=7月25日、徳之島町

「鹿児島黒牛」消費拡大を
自ら子牛生産の和牛肉を還元

 【徳之島】「子牛生産農家も黒毛和牛のおいしさを知って自信と誇りを」―。JAあまみ徳之島町肉用牛振興会(基正幸会長・234人)と同伊仙町肉用牛振興会(基山美佐子会長・568人)の2022年度総会は書面議決方式で開催。議決書と引き換えに会員が生産し鹿屋市で肥育された黒毛和牛「鹿児島黒牛」1頭分を還元。消費拡大のアピールと併せ、子牛生産基地の自信と誇りを喚起した。

 書面総会・議決は、新型コロナ感染拡大防止に対面式総会を避けて3年前から採用。両町各会員への「黒毛和牛肉の還元」は、コロナ禍での視察研修の中止など事業縮小で生じた未執行会費(予算)の「還元」も兼ねた計らい。

 今年は、伊仙町振興会員の重翔太さん(崎原)が生産して2年前に出荷、鹿屋市の肥育農家(㈲うしの中山)が肥育した「鹿児島黒牛(黒毛和種・去勢)」の精肉約330㌔が〝里帰り〟した。個別に事前配布した議案に対する議決(表決)書と引き換えに、1パック300㌘ずつを飼養頭数規模に応じて配布した。

 徳之島町振興会員の女性(48)=亀津=は「子牛の生産はしていても和牛を食べる機会は無かった。後継者のわが子(26)も県立農大を卒業して沖縄で修業中。おいしい黒毛和牛の子牛の生産牛をさらに増頭・規模拡大を図りたい」。

 4年間会長を務めた伊仙町振興会の基山さん(崎原)は「生産者自らが黒毛和牛のおいしさを分かって、自信と誇りを持って生産拡大に努めて欲しい」とニッコリ。

 伊仙町振興会総会の役員改選では新会長に宮永誠さん(佐弁)を選出。21年度セリ(子牛販売)実績は、▽伊仙町3102頭(前年比175頭増)、16億6734万5千円(5693万6千円増)、平均単価63万1570円(2万8163円安)▽徳之島町は2063頭(208頭増)、11億3566万5千円(8451万6千円増)、平均単価64万8951円(2万8772円安)。増頭が進む半面、単価面はコロナ禍の影響が継続。今年度はウクライナ侵攻による世界的な穀物飼料や肥料の高騰も加わっている