奄美初の醸造所が開業

島の素材を使った4種のクラフトビール(左からシークニン、バナナ、黒糖、長命草)
奄美群島初のクラフトビール醸造所(ガラス奥)で試飲会を楽しむ関係者たち

島バナナ、シークニンなど4種・島素材のクラフトビール
「まずは島の人が楽しんで」

奄美群島初のクラフトビール醸造所「奄美ブリュワリー(奄美麦酒醸造所)」が、奄美市名瀬港町に開業した。併設のビアホールでは2日、関係者を招いて初出荷を記念した試飲会を開いた。島の素材を使った4種類のオリジナルクラフトビールをお披露目。同社は「世界には様々なスタールのビールがある。奄美の味や香りを感じながら、まずは島の人から楽しんで」と呼び掛けている。

伊仙町に本社を置く奄美DNA㈱(平泰造代表取締役)が運営。今年7月に製造免許を取得し、奄美大島での商品開発・醸造を進めている。

ビールはアルコール度数5~7%で、銘柄はこれまでに発売していた「島ばななヴァイツェン」「長命草ペールエール」「純黒糖闘牛ブラウンエール」に加え、新たに徳之島産シークニンをベースに奄美大島産の塩で味をまとめた新商品「奄美ソルティーシークニンサワーエール」の計4商品をラインアップ。すべて群島内で採れた素材を副原料に使用しており、製造担当者の里山大樹さんは「島料理や洋食にもぴったり。(シークニンは)汗をかいた時には氷を入れて飲めば更においしい」と薦めている。

試飲会では、屋外会場を設置して密を避けるなど感染対策を徹底して開催。仕事を終えた招待客らが汗をぬぐいながら醸造所を訪れ、冷えたクラフトビールを飲みほした。

市内在住の50代男性は「島バナナは味や香りがしっかり感じられ、黒糖はまろやかで深い。いろいろな個性が楽しめて面白い」と笑顔だった。

今後は海外も視野に販路開拓を図り、群島内12市町村の味覚をピックアップした新商品の開発も計画している。平代表は「ビールを広めることは島のアピールにもつながる。今後は商品の効能を突き詰めるなど価値を高め、世界自然遺産の島のビールとして育てていきたい」と話した。

商品は島内の土産店や小売店のほか、ネットでも販売。醸造所内ビアホールは秋口のオープンを目指している。