海岸で密漁防止へ注意を喚起する奄美海保、奄美署、名瀬漁協の職員たち
奄美海上保安部は9日、奄美警察署や名瀬漁業協同組合と協力して、奄美市名瀬の大浜海浜公園海岸で貝類などの貴重な海産物を勝手に採取する「密漁」禁止を呼び掛ける啓発パトロールを行った。2020年の漁業法改正で罰則は強化されたが、管内の奄美大島では今年に入って摘発件数が急増している。職員らは海水浴客らに啓発チラシを配り、「1個でも罰則になる。軽い気持ちで捕らないで」と注意を促した。
奄美海保によると、密漁事案にあたる漁業法関係の摘発は20年0人、21年1人だったが、今年は同日時点ですでに10人が摘発されている。摘発者はすべて地元住民で、5月18日に同市名瀬小湊町で7人が一斉摘発された事案をはじめ、これまでにサザエ58個、タカラガイ17個、タカセガイ6個などの計84個の貝類が押収されている。
名瀬漁協管内では組合員以外の漁業権は認めておらず、ヤコウガイ、マキガイ、トコブシの貝類のほか、ウニやイセエビといった採捕を禁止する海産物を定めている。禁漁期間、採捕の大きさも決められており、密漁した者には100万円以下の罰金などが科せられる。
摘発者の中には「少しであれば」といった個人消費を目的としたレジャー感覚の密漁が多く、違反と分かった上で行動に及ぶ者も多い。ルールはビーチの看板に明記されているものの、違反は後を絶たないという。
この日は、海保、警察、漁協職員6人が啓発を兼ねて海岸をパトロール。海水浴を楽しむ住民らへチラシを手渡し、ルールを説明しつつ注意を訴えた。
夏場は密漁が増える時期で、各地のパトロールも強化していく。奄美海保警備救難課の中條智課長は「少しぐらいといった軽い気持ち、1個でも密漁になる。今後は関係機関で連携しながら冷静に取り締まっていきたい」と話した。