管理作業の徹底で高級果実・マンゴーの安定生産を実現している高岡果樹園園主の清信さん
2015年度から開催され、今年度で8回目となった奄美大島・喜界島マンゴー品評会では、喜界町の高岡果樹園(高岡清信園主)が最高の金賞を受賞した。高岡果樹園は今回を含めて半分の4回も金賞に輝いており、他にも銀賞1回、銅賞2回の受賞歴がある。「受賞の常連」とも言える高い栽培技術は、関係機関が作成したマンゴーの栽培暦に基づいた管理の実践によるもので、外観・品質とも秀でた高級果実が全国に届けられている。
同町赤連のやや高台にある果樹園の面積は約5ヘクタール。清信さん(61)の父親が50年ほど前に取り組んだタンカンからスタート。現在はマンゴー、パッションフルーツの三つの作物を栽培している。果樹農業は防風対策が生産安定を左右するが、果樹園を取り囲むようにガジュマルやイスノキが植え付けられており、「台風や季節風の風対策は万全」(清信さん)。
父親が始めた果樹農業を清信さんが受け継ぎ、マンゴー栽培に着手したのは13年前。ビニールで覆う施設を整備しての面積は40アールを約60アールまで増やした。栽培している本数は約500本もあり、この中には植栽から35年が経過した古い木も150本あるが、「ちゃんと管理することで長期にわたって実をつける。堆肥やバガス(サトウキビを搾った後の残渣)を投入しての土づくりが基本」と清信さん。
今年の生産量は約6トンを見込む。今月15日には収穫を終了する予定で、その後も管理作業は続く。早めに終わらせるというせん定から始まり、次の年の生産に向けて気象条件に注意しながら芽や花、実といった成長に合わせた管理に取り組む。こうした作業の指針にしているのが栽培暦だ。清信さんは「肥培管理は栽培暦に沿っており、『まあ、いいか』という気持ちを抱かず、妥協せずに徹底することが大事ではないか。土の状態の把握、適切なかん水、気温上昇時の換気、台風時などのビニール管理と多くの労力を伴うが、妥協せずに作業を重ねたら作物は応えてくれる。きちんと管理すれば炭疽=たんそ=病など病害発生も防げる」と語る。
こうした姿勢は、同様にマンゴー栽培に取り組む喜界島の他の農家の模範となる。清信さんはJAや町の果樹振興会会長でもあり、町指導員、県普及員と連携しながら栽培講習会を開催するなど技術の浸透、普及にも一役買っている。横の広がりが、喜界島がマンゴー産地として発展する原動力だ。
果樹園で栽培しているタンカン、パッションと比べて高値で販売されるマンゴーは高級果実だ。「見た目の良さに加えて食べておいしいという高級感がマンゴーの魅力」と清信さん。地元消費のほか、島外では関東・関西を中心に北海道や九州方面まで全国に顧客を持つ。清信さんが手掛ける「高岡果樹園のマンゴー」は口コミでファンが拡大しており、贈答用として根強い人気を誇っている。