天城町瀬滝・稲作体験

「グイーン、グイーン」と勇壮に回転、足踏み式脱穀機の体験も(院田さん撮影)
〝瀬滝集落の文化財〟「唐箕(とうみ)」も登場(院田さん撮影)

「唐箕(とうみ)」も登場
昔の農具フル活用

【徳之島】天城町瀬滝地区の「こうしりいじゅん公園」(川尻の湧水公園の意)の体験用水田でこのほど、稲刈り作業と昔の農具を使った脱穀(だっこく)作業があった。兼久小学校児童や職員、保護者ら約50人が参加。高齢者ら地域の先生たちの手ほどきで昔ながらの〝食農一貫体験〟にふれた。

瀬滝地区古来の水くみや洗濯、井戸端会議など交流の場だった「こうしりいじゅん」。県の農地整備事業に絡めた1996年の公園化に併せて体験用ミニ水田(約150㌃)も付設。いらい同集落(院田吉雄区長)や子ども育成会合同の稲作交流の場となり、3年前からは兼久小校区全体の「南部地区振興会」(院田会長)主催に拡大。今年は4月16日に田植え交流していた。

稲刈り・脱穀作業は台風延期の末、7日にあった。子どもたちは、昭和40年代まで使われていた足踏み式脱穀機の「グイーン、グイーン」と回転する姿に及び腰ながらも、大人たちの安全サポートで挑戦した。脱穀した籾(もみ)から藁(わら)くずなどごみを吹き飛ばし風選する「唐箕(とうみ)」も登場。高齢者たちも懐かしそうな表情でアドバイスした。

兼久小5年生の盛喜海斗君(10)は「籾を仕分ける作業も大変だった。おコメの大切さを感じた」と痛感。子ども育成会副会長でもある母・美由紀さん(41)も「食育にもつながる。集落唯一の水田は、稲作体験のない私たち保護者世代にも貴重な体験の場に」とにっこり。

院田会長(71)によると、昔の農具類は旧公民館(旧三和小校舎)内に永久保存中。瀬滝老人クラブ(中野伊三男会長)会員らの積極支援にも感謝。例年だと「収穫米で子どもたちが餅をついて9月の敬老会に贈っているが、今年は新型コロナ感染症の状況で中止。12月の忘年会・餅つき交流を計画したい」と話した。