夜行性の生き物たちから「自然」学ぶ

絶滅危惧Ⅱ類指定の「アマミハナサキガエル」を観察する参加児童(13日、大和村大金久)

夏休み子ども観察会 夜の森を歩いてみようin大和村

 環境省奄美野生生物保護センターと奄美自然体験活動推進協議会は13日夜、夏休み子ども自然観察会「夜の森を歩いてみようin大和村」を開催した。講師に、奄美海洋生物研究会の木元侑菜さんを迎え、保護者含む児童生徒ら計20人が参加。普段、足を運ぶ機会が少ないとみられる夜の森で、夜行性の生き物たちを通し、奄美の自然の豊かさとその実態を学んだ。

 同センターでは、同省が毎年7月21日~8月20日に全国で行う「自然に親しむ運動」にあわせ、夏休み期間中に「自然ふれあい行事」を開催。今回の観察会は、生き物たちが体験する暗闇を感じることで、奄美の森の豊かさや大切さを考えることを目的に実施された。

 参加者らは、午後7時に同村・嶺山公園駐車場に集合。同センター職員らの誘導の元、観察場所である同大金久の村道に向け各乗用車で移動。絶滅危惧種のアマミヤマシギなどをひかないよう時速15㌔ほどで走行、30分掛けて観察地点に到着し観察開始。約300㍍を1時間かけて歩き、木元さんの解説の下、それぞれライトを照らしながら、夜の森の生き物たちと触れ合った。

 この日の道中では、絶え間なく様々な夜行性動物、絶滅危惧種が姿を現した。カエルだけでも、奄美の固有種オットンガエルをはじめ、▽ヒメアマガエル▽アマミハナサキガエル▽リュウキュウカジカガエル―が出現。生物多様性の定義の一つ、「種の多様性」が観察できた。

 一方、絶滅危惧IB類指定のケナガネズミの死骸を2体確認。毛だけが残る状態で、同センター職員が回収。解剖するまで死因は不明とのことだったが、子どもたちはその姿から「自然の摂理」を学んだ様子だった。

 祖母らに会うために、毎年来島しているという、大阪に住む前田海梛大(かなた)くん(7)は、この日姿を現さなかった「アマミノクロウサギ」は、何度も見たことがあると話し「(奄美群島に住む毒蛇)ヒャンやオットンガエルのオタマジャクシは初めて見た」と笑顔。様々な奄美固有の生き物たちと出会えた夜の観察会を終え、満喫した表情を見せた。