「個体数の回復と課題」と題し講演を行った浜端朋子博士(左)=右は興克樹会長=
知名瀬の海岸で保護され、奄美海洋展示館で飼育中の3匹のアカウミガメの赤ちゃん
奄美海洋生物研究会(興克樹会長)は14日夜、「奄美大島・オンライン ウミガメミーティング」を開催した。今年6月、奄美市名瀬の奄美海洋展示館などで行われた同ミーティングの2回目で、テーマは「増えゆくアオウミガメを考える」。東北大学情報科学研究科特任助教・浜端朋子博士が登壇し「個体数の回復と課題」について講話。新型コロナウイルス感染拡大を考慮し、同名瀬の大浜海浜公園バースハウスからオンラインで開催、24人が視聴した。
同会は、ウミガメ、その産卵環境の調査や保護を目的に、2012年に設立、同ミーティングも開始。浜端博士も同年から参加するとともに、龍郷町安木屋場の渡連キャンプ場を拠点に、奄美群島内でアオウミガメの調査をしてきた。
講演では、アオウミガメの増加事例として、1910年から人工ふ化放流を続けてきた東京・小笠原が、80年代後半から自然ふ化数が増加し、人工ふ化事業を止めた保護成果を紹介。餌場の事例として沖縄・八重山諸島でアオウミガメの成長率が、95~03年の年平均2・70㌢に対し、04~16年では同2・24㌢と低下していることを指摘。世界的な個体数の増加に伴い、餌不足が起きつつあるとし、アオウミガメによる海藻藻場の衰退、食害を報告した。
しかし浜端博士は、「海藻の生態系に何十万年も生息するアオウミガメの増加が理由で、本来、海藻が衰退することはないはず」との見解を示し、生態系全体の異変の可能性も考慮すべきとした。
この日、興会長から奄美のアオウミガメの保全と活用に関する報告がされた他、同会が5日、知名瀬の海岸で保護し、現在は同展示館が飼育するアカウミガメの赤ちゃん(未展示)を紹介。また、大浜海岸に移動し子ガメ観察会を実施。ウミガメは確認出来なかったが、砂浜をはうアカマタの姿が中継された。