「行かなくて良い市役所」検証

高齢者福祉課が対応した、オンライン相談の実証実験の様子。画面を共有したやり取りが行われた(18日、奄美市役所)

「オンライン窓口サービス」実証実験 NTTデータ、奄美市で
住民役で施設職員も参加

 NTTデータ(東京都江東区)は奄美市役所(同市名瀬)で17、18日の両日、開発中の「オンライン窓口サービス」の実証実験を行った。その有効性や操作性の検証を目的に、市職員の他、住民役として福祉施設職員らが参加。「行かなくて良い市役所」の実現を目指すサービス開発に、タブレット、スマホを通した、実証実験に協力した。

 同社は、政府が21年に掲げた「デジタル田園都市国家構想」の一例として「行かなくて良い市役所」を挙げているなど、自治体の住民窓口のデジタル化が推進されている現状を踏まえ、今年5月から開発中の同サービスの実証実験を開始。大分県臼杵市など複数の自治体が協力する中、同市も今年4月、実証実験の依頼を受け、今回の実施となった。

 同社によると同サービスは、▽オンライン申請の操作に不慣れな人▽市街在住で市内に住む住民の手続きサポートのため来庁する人▽本庁舎で手続きが必要も、遠方在住、移動制約がある人―などの利用を想定。場所にとらわれない新たな窓口サービスを目指すとしている。

 今回の実証実験では、同役所各課による窓口対応を設定。17日は、市民協働推進課、税務課、18日は、高齢者福祉課、プロジェクト推進課によるオンライン相談の検証が行われた。

 18日、同市役所3階小会議室などを利用した実証実験では、▽介護▽施設利用▽認知症▽空き家バンク▽移住▽リフォーム―など、対面時同様の相談内容で検証。画面を共有したやり取りが行われた。

 住民役の参加者からは、「コロナ禍の時代に相応しい」「遠方の方には便利」といった意見の他、「世代によってはスマホの操作自体に敷居の高さを感じるサービスなのでは」など、様々な声が寄せられた。

 同市デジタル戦略課・田川正盛係長は本サービスに対し、「(アプリなど)事前準備が不要な、ブラウザ利用に使いやすさを感じる」とし「(市で導入している)電子申請システムを、画面を共有しながら案内できるのでは」と話した。また、「テレワーク導入など、市職員の働き方にも良い影響を与える」と期待を寄せた。