新型コロナ感染拡大 宿泊療養もひっ迫

4人に1人が来島者

県内の新型コロナウイルスの感染者が連日過去最多を更新するなど感染拡大が続くなか、奄美大島では、重症化リスクの高い高齢者への感染が増加。医療機関の入院調整に時間がかかるケースが出ているほか、奄美市内の宿泊療養施設のホテルでは、入所者が増え施設の使用率が上昇、受け入れに支障が出かねない状況が続いている。また、入所者の4人に1人が島外からの来島者で占めており、島内在住感染者の入所への影響も指摘されている。

使用率65%「自転車操業状態」

県新型コロナウイルス感染症療養調整課によると、市内のホテル2カ所に設けられた宿泊療養施設の部屋数は全131室。17日現在、86室が使用されており、使用率は65%となっている。県全体の使用率72%と比較すると、まだ余裕があるように見える。

一方で、島内では連日、200人規模の感染が確認されており、療養を終えた感染者の退室と同時に、次の感染者を受け入れる状況が続いている。名瀬保健所の相星壮吾所長は「宿泊療養は自転車操業の状態で、感染状況や離島という限定された環境を考えると余裕があるとは言えない」と話す。

また、宿泊療養者の入所判断について県は、感染のため宿泊していたホテルなどを退去した観光客など、島外からの来島者を優先的に入所させる方針で、入所者の調整を行っている。結果的に島内在住の感染者が後回しされ、自宅待機となるケースが増えているという。

こうした状況に、相星所長は「今後、さらに感染者が増えた場合、宿泊施設での療養にも支障が出てくる可能性がある。離島医療のひっ迫を防ぐため、みんなで協力し、感染対策を徹底してほしい」と話し、来島者を含めた感染対策の徹底を呼び掛けた。

島内の医療崩壊が現実味を帯びてきた現状に、奄美市健康増進課の徳永明子課長も「医療が必要な人に行き届かない状況が出てきている。観光客には来島前の検査を徹底してもらい、島内では大勢での会食など感染リスクを高める行動を控え、旅行を楽しんでほしい」としている。