感染急拡大で知事緊急メッセージ

「みなし陽性」導入
崩壊現実味、医療現場守る取り組みを
「コロナ・フォローアップセンター」開設へ

鹿児島県の塩田康一知事は22日、記者会見を行い、新型コロナウイルスの爆発的な感染拡大によって、県内の医療提供体制のひっ迫が続いていることから、「現在の感染状況が続くと、医療崩壊が現実のものとなる」との危機意識を示し、さらなる感染対策の徹底を呼び掛ける緊急メッセージを発した。また、感染者の同居家族などに症状が出た場合は、検査を行わず臨床症状で診断する「みなし陽性」を導入する考えを示し、企業などに対し、従業員に感染を確認するための「陰性証明」の提出を求めないよう要請、検査目的での医療機関の受診を控えるよう求めた。

県は今月3日、「BA・5対策強化宣言」を発し、感染防止対策の徹底や医療現場を守る取り組みへの協力を求めてきた。しかし、新規感染者数については、宣言発令後も増加傾向が続いている。特に高齢者の感染者が増えており、その割合が7月15%だったものが、8月には20%を超える水準となっている。

高齢者の感染増に比例して死亡も増加、8月の死亡者はこれまで119人と月別では過去最多となった。病床使用率も20日現在、61・9%と高く、重症、中等症患者の人数も増えている。

こうした状況から、今月31日までとなっている強化宣言期間について塩田知事は、期間延長の可能性を示し、「判断は直前になるかもしれない」などと述べた。また、「医療機関では新型コロナ感染や濃厚接触等により出勤できない医療従事者が急増、医療機関への負荷が一段と高まってきている」などとし、「コロナ以外の重篤な治療や手術を含め、県民に十分な医療サービスを提供できなくなることが懸念される」などとし危機感を示した。

感染拡大の要因については、夏休みやお盆帰省などで移動機会が増えたことが影響しているとし、外出時の体調管理の徹底とともに、のどの痛みや倦怠感など体調の異変を感じた際は、移動・外出を控えるよう呼び掛けた。

また、医療機関や高齢者施設などでの感染も増加しているとし、施設内での面会はオンライン対応を呼び掛けるなど、「施設内にウイルスを持ち込まない、持ち込ませない、拡げないの三ない運動に取り組むよう」求めた。

感染者の急増に伴い、医療機関では受診・検査体制などがひっ迫、保健所の健康観察業務も大きな負担となっていることから、29日に「コロナ・フォローアップセンター鹿児島」を開設、自宅療養者の健康観察などを実施する。

一方、感染拡大に伴う行動制限については、「一律な制限は考えていない」と述べ、「重症化リスクの高い高齢者は、できるだけ感染リスクの高い行動を控えてほしい」などと呼び掛けた。