下久志集落でエコツアー研究成果発表

エコツアーガイド役で下久志集落の魅力を地元町長らに逆アピールした武蔵野大生ら=25日、徳之島町
 

難しい島口歌詞の伝統芸能「キョウダラ」の歌にも挑戦(武蔵野大生ら)

「繋がりのシマがここに…」
武蔵野大「徳之島プロジェクト」

 【徳之島】武蔵野大学(本部・東京都江東区)と徳之島町が連携したインターンシップ「徳之島プロジェクト」。今夏は「鹿児島県SDGs未来都市『徳之島』〝豊かさ〟溢れる島民の暮しエコツーリズム開発体験」をテーマに17日から同町下久志(しもくし)集落(73世帯・128人)が対象。学生らは9日目の25日、地元町長ら対象のエコツアーガイドで「繋(つな)がりのシマがここにある…」など魅力を〝逆アピール〟した。

 武蔵野大が2011年度から取り組む産学連携教育の人材育成、また同連携ゼミ長期インターン教育課程にも位置付けた事業。うち「徳之島プロジェクト」連携は15年度に徳之島町と覚書を締結。農業や観光分野など職業体験、映画制作などを実施。昨夏は新型コロナの影響で現地フィールド・スタディーズは行わずオンライン実施していた。

 同プロジェクト生らは学部横断で自由参加した1年生10人と引率職員2人。厚い人情と歴史文化、自然にあふれた下久志集落内を▽Aチーム(順路例・公民館~水神様・神社~東郷米販売店~ハンタ広場~貝細工の家―十五夜浜)―Cチームまで計3班に分かれて連日調査。古老格を含む住民たちの協力で伝説・伝聞も聞き取り記録した。

 発表会には高岡秀規町長や幸野善治副町長、福宏人町教育長、幹部職員らを招待。個別タイトルは▽Aチームは「シマと私~帰る場所が下久志(ココ)にある」▽B同は「おぼらだれん(ありがとう)を胸に~永遠に繋げ下久志の思い」▽C同は「宝探しのおともは、卵おにぎりとマンゴーで決まり!」でそれぞれ解説した。

 「繋がりのシマがここにある。(中略)人と海。人と山。人と人。あなたの居場所もきっとある。帰る場所が下久志(ココ)にある。そうだ下久志に帰ろう」。「―恩の数だけ笑顔がある小さな島の大きな宝箱、これぞ下久志集落。下久志に帰ってきてよかった、ありがとうぎゅう」など、都会育ちの若者らがその魅力を懸命にアピールした。

 この後、3班それぞれのエコツアールートを散策しながら解説。公民館では同集落前区長の浜睦男さん(62)が〝一夜漬け指導〟した伝統芸能「キョウダラ」の歌も披露して驚かせた。高岡町長は感想で「ふだんは県道を通り過ぎるだけだったが、皆さんの案内で大きな勉強になった。IT時代だが〝アナログ的な人間の心〟を大切にしていることにも安心した」など称賛。

 リーダ格の大瀧隼平さん(19)=工学部環境システム学科1年=は「人と人、人と自然が一体となった下久志でのこの体験を、SDGsのコンポスト普及の研究にも生かしたい」。

 同プロジェクト主担当者で同大・教養教育リサーチセンター客員講師の梅田大輔さん(49)は「当初は農業や町役場など職場体験が中心だった。明るく優しく受け入れていただいた住民の皆さんにも感動。この学生たちが再度研究に訪れることにも期待したい」と話していた。

 一行は27日に帰途に就く。