「BA・5宣言」9月末まで延長

全数把握見直し 政府方針に沿い準備
知事定例会見

 塩田康一知事は26日、定例会見を行い、8月31日までとしていた新型コロナウイルス「BA・5対策強化宣言」の期限を9月30日まで延長すると発表した。政府が24日に公表した新型コロナ感染者の「全数把握」の見直しについては、医療現場の負担軽減につながることから政府方針に沿って準備を進める考えを示した。

 同宣言は、オミクロン株「BA・5」系統による感染急拡大を受けて今月3日に発動。しかし新規感染者数はその後も3千~4千人台と高い水準が続き、特に高齢者層の感染者数が増加。高齢者の割合は7月の15%から8月は20%を超える水準となっている。

 知事は「受け入れ病床は現在754床確保し、病床のフェーズも最も高い『緊急フェーズⅡ』に引き上げたところだが、24日時点で病床使用率は60・5%と依然として高い水準で推移している」と説明。9月に入ると2学期が始まり学校活動の再開と合わせて子どもたちへの感染拡大が懸念され、さらにシルバーウイークなど人の移動が活発化し人との接触機会の増加を起因とする感染拡大も懸念されるとして知事は宣言延長の必要性を挙げた。

 宣言延長に伴い知事は「重症化リスクの高い基礎疾患のある方、妊娠中の方、またこうした方と日常的に接触する同居家族、高齢者施設や医療機関の従事者は、混雑した場所や感染リスクの高い場所への外出を避けるなど感染リスクの高い行動を引き続き控えてほしい」と呼び掛けた。

 政府の全数把握見直しについて知事は「非常に感染者が多い中で医療現場では通常の医療サービス提供だけでなく発生届のためのさまざまな入力作業が大きな負担になっていると聞いている。(政府の見直し方針は)こうした医療現場の負担を緊急避難的に軽減することにつながる」と評価。一方で患者の情報をしぼることにより健康観察、パルスオキシメーターや生活支援物資配送への影響が考えられる。知事は連絡窓口など体制整備を課題に挙げ、今月29日に設置する「フォローアップセンター」を連絡の窓口にするとともに、医師の確保を進めた上で見直しに取り組むとした。

 県内全域で猛暑が続く中、熱中症対策として県立高校普通教室へのエアコン設置に関する質問もあった。61校中6校が未設置となっており、知事は「県の財政の厳しさから、これまで各校の同窓会等の協力によって整備されてきた。6校は小規模校が多くPTA、同窓会にお願いするのは難しく整備が進んでいない。しかし早急な環境整備が必要であり、県教委では早々にエアコン整備を検討している」と述べた。6校については設置費用を公費で対応するもので、速やかに整備を進めるが、整備後の維持費については一部の電気代負担を求めることがあるとした。