サンゴの「白化」確認

高水温などの影響で白化現象が見られる奄美大島のサンゴ(大浜海浜公園沿岸部で)=提供写真

奄美大島中北部
台風減影響か、来月実態調査も

 奄美海洋生物研究会(興克樹会長)は29日、奄美大島中北部の沿岸周辺で、海水温の上昇が原因とみられるサンゴの白化現象を一部で確認したと報告した。白化はまだ局所的で深刻ではないものの、このまま高水温が長期化すれば死滅する恐れもある。興会長は「今年は台風の接近が少なく、水温が高いままではないか」と指摘しており、9月には全域での実態調査を行う予定だ。

 白化がみられたのは、奄美市名瀬の大浜海浜公園、同笠利町の神の子(用安)、節田の沿岸周辺3カ所。今月23~24日に行った定期調査で判明した。

 同研によると、大浜海浜公園ではミドリイシ属のサンゴのうち9割以上で白化が進んでいるのを確認。このうち2割は生命維持に必要な褐虫藻が抜けており、完全白化の状態になっている。

 神の子では、コモンサンゴ群落の7割で色が薄くなるといった白化が始まり、個体はわずかだがハナヤサイサンゴ科の群体で完全白化がみられた。節田では、ミドリイシ属群体の9割以上で白化が進行。ハマサンゴ群体の部分白化も確認された。

 白化状況は水深2㍍以内でみられ、少し白くなったサンゴもあれば影響がないサンゴもあるという。一方、現時点で死滅した群体はまだみつかっていない。

 同研では、近日中にも奄美大島全域でのモニタリング調査や海水温データの分析に着手する。興会長は「今後は海水温も低下していくことが見込まれる。白化群体が回復していくことに期待したい」と述べた。

 奄美大島中北部では1998年に大規模な白化が発生し、広範囲にサンゴは死滅した。その後は、白化に耐性を持つサンゴが現れるなど順調に回復する海域がある一方、まったく回復の見られない海域もあるという。