コロナ禍・奄美のために出来ること=32=

離島の子どもたちの事などを語る香西さん(円内)と最新曲「恋街しぐれ」のジャケット

人との共生があってこその世界自然遺産を
自然体で迎える還暦。赤いビキニに挑戦しようかな?

奄美への思いと、登場人物のプロフィルに迫りながらバトンをつないでいく「奄美のためにできること。新型コロナウイルスと私は闘う!」の第32回。デビュー35周年を迎えた歌手・香西かおりさんの後編をおくる。(東京支局・高田賢一)

世界自然遺産登録は素晴らしいこと。だが、一方で感じる事柄。

「熊野古道とかは、世界自然遺産登録前には普通に歩けた所が、登録後はそうじゃなくなってしまった。しかも、道などがものすごく傷んでいても、簡単には直せないという。世界的な評価をされるのは、とてもいいけれどなんだかちょっと違う気がする。大好きな日本酒も、サミットに出展すると、とたんにおいしくなくなると感じるから。本当の酒飲みには分かるんですよ(笑)。量産しちゃうからだと思います。自然も人が入ってこそ、再生される気がするんです。ほったらかしにせず、世界遺産をキープするためには、どんな措置をするべきかを考えてほしいですね」

一度は故郷を後にする子どもたちと、親へのメッセージ。

「新潟・佐渡島の子どもたちも、進学のためにほとんどが中学で島を離れると伺っています。でもお祭りの時などには必ず帰ってきて、故郷のありがたみを知る。そんな光景が島にはありますね。一人暮らしをして、初めて親のありがたみも同時に知る。それと同様に、親の側も心を鬼にして『苦労してきてね』と送り出してやるのが、やがて故郷のためにもなるのでは。さまざまな挫折や苦悩があってこそ、そこにドラマや演歌が生まれるから人生は楽しい」

自分らしい演歌を発表。来年還暦を迎えるも自然体で。

「『恋街しぐれ』は、久しぶりにデビュー当時からの『香西かおりの演歌』。いわゆるメジャー演歌に着地した感じですね。しっくりと聴いてもらえると思いますよ。デビューして35年間は、……とても濃かった(笑)。時間の使い方、自分の立ち位置などが、いつの間にか先輩の扱いとなりましたね。来年、還暦ですが全く意識はないですね。後輩が赤いビキニを用意しますよ、なんて言ってて、それじゃチャレンジしちゃおうかな(笑)。今年の5月25日から来年の5月25日にかけて、デビュー35周年期間ですので、それと合わせて還暦をイベント的に楽しんでいますね。『香西かおりオフィシャルYouTubeチャンネル』もできました。これからどんどん配信していきます。35周年のまっただなかですから、この間にやれることは何でもやろうとの気概で奮闘していきますよ。応援してね」

歳を重ねることを楽しむようほほ笑んだ。8月28日に大阪新歌舞伎座で「35周年コンサート」を、10月26日に東京・中野サンプラザホールで「大月みやこ・伍代夏子・香西かおり『歌謡ビッグ・ステージ2022』」のステージに立つ。次回登場するのは、歌手・中村美津子さん。