国交省のモデル事業採択

あまみ空き家ラボが2020年度に開催した移住希望者向けの「オンライン住まい講座」(提供写真)

「あまみ空き家ラボ」未登記、未相続物件の流通促進
将来リスク見据えた仕組みづくり

奄美群島で空き家の利活用などに取り組むNPO法人「あまみ空き家ラボ」(佐藤理江理事長、本所・和泊町)の空き家対策事業がこのほど、国土交通省の「住宅市場を活用した空き家対策モデル事業」に採択された。対象となった事業は、土地建物の所有者が不明だったり、未登記の物件など、取引が困難な空き家の流通促進を図るための新たな仕組みづくりを目指す取り組み。補助額は430万円で、不動産登記や相続などに関する普及啓発や空き家活用の実証実験を計画している。

あまみ空き家ラボは2017年に設立。未登記物件や老朽化物件など、不動産での取り扱いが難しい空き家を活用する「空き家サブリース事業」や移住希望者が島暮らしを体験できる「お試し暮らし住宅」の運営、島外在住の不動産所有者などを対象にした「空き家の貸方講座」開催などの活動をしている。

今回、モデル事業として採択されたのは、今後、所有者不明となる可能性のある空き家を減らすことを目的に、将来的に相続人となる可能性のある島外在住者やその親族などを対象に、土地建物の相続や登記方法などを指導する活動。

不動産取引などに詳しい弁護士などを招き、11月以降、都市圏などで手続きなどに関する講座を開くほか、自治体や出身者らの協力を得て、空き家情報の発信も行う。

また、空き家活用の実証実験では、奄美市や龍郷町で、「集落運営型の空き家仲介(サブリース)」や「交流型空き家活用」なども実施。将来的には、不動産の登記調査なども行い、空き家問題に関する基礎データを蓄積、将来リスクの可視化を図ることにしている。

佐藤代表は「不動産の未登記を減らすことで、将来の空き家リスクを減らし、移住希望者が安心して暮らせる住環境の提供を目指したい」と話した。