黒糖焼酎出荷量11・5%減

コロナ影響続く、世界遺産も生かせず
製成数量、芋焼酎伸び
21酒造年度需給状況

 県酒造組合(濵田雄一郎会長)は6日、2021酒造年度(21年7月1日~22年6月30日)の県内本格焼酎需給状況を発表した。出荷量を示す課税移出数量(25度換算)は9万1940㌔㍑で前年比2・6%減少。原料別課税移出数量(実数ベース出荷量)でみると、黒糖焼酎は11・5%減の6270㌔㍑となり、県全体(3・1%減)と比べても減少幅が目立つ。新型コロナウイルス感染症により大口需要(業務用)の飲食店の低迷が引き続き影響しているほか、昨年7月に登録された世界自然遺産も十分に生かせない状況にある。

 県全体の21酒造年度本格焼酎の需給状況をみると、年間生産量である製成数量(25度換算)は10万6735㌔㍑で、前年比9・3%増加。コロナ禍前の18酒造年度との比較では20%減となっている。課税移出数量(同)の前年比は減少が続いており、減少は9年連続、8年連続で宮崎県に次ぐ2位となっている。

 同組合は、製成数量の増について芋焼酎の伸び(前年比7・2%増)を挙げている。「主に大消費地における家飲み需要に対応した増産や、20酒造年度はサツマイモ基腐病(もとぐされびょう)によりイモの確保が難しく、生産を抑えざるを得なかったが、21酒造年度は一定の在庫を確保する必要があり、原料サツマイモが20酒造年度よりは確保できたことから増産したもの」と説明。一方、出荷量の減は新型コロナが全国的に拡大し続け、飲食店などの需要減やイベント中止などにより「業務用を中心に本格焼酎の需要が伸び悩んだことなどによるもの」としている。

 九州4県の課税移出数量を前年比でみると、熊本5%減、大分2・2%減、宮崎0・3%増となり、宮崎県(11万6953㌔㍑)のみ増加した。

 県内の製成数量の原料別では、黒糖は6905㌔㍑で前年比9・6%減少。課税移出数量はイモの2・7%減に比べ、黒糖は10%台を超える大幅な減少となった。黒糖焼酎の出荷量(課税移出数量)の下降について奄美支部の乾眞一郎支部長は「黒糖焼酎だけでなく本格焼酎全体的に言えることだが、やはり飲酒店の厳しい状況が影響している。家飲み需要もあるが、外飲みの量を補うことはできない」と指摘。世界自然遺産に登録されたことでメーカーの中には商品ラベルでのアピールやキャンペーンに乗り出したところもあるが、乾支部長は「黒糖焼酎業界、奄美群島全体でみると(世界自然遺産の)盛り上がりには地域差がある。東京や大阪など大消費地での物産展などでPR(世界自然遺産の島で生産された黒糖焼酎)する機会もコロナによって広がりを欠いており、また土産品購入が期待できる観光客も爆発的な増とはなっておらず、世界遺産効果を十分に発揮できていない」と話す。厳しい状況にあるが、出荷量増に向けて乾支部長は「国内での黒糖焼酎認知(特に東京以北で)に引き続き力を入れたい。ジェトロなど関係機関の協力により海外展開に向けた道筋をつけつつあるが、商談などで実際に足を運ぶことがなかなかできず、味わってもらう機会の創出が課題となっている」と語った。