名瀬消防署「119番」8月、過去最高281件

次の出動に備え、救急車各部のアルコール消毒を行う救急隊員(7日午後3時ごろ、大島地区消防組合名瀬消防署)

9日は「救急の日」「積極利用」とともに「適正利用」を

全国的に新型コロナウイルスの新規感染者が連日増え続ける中、救急出動、搬送件数も各地で増加している。大島地区消防組合名瀬消防署(奄美市名瀬小浜町)によると、同署の8月期の救急出動件数は281件(前年同月178件)で、ひと月当たり過去最高の出動件数を記録。うちコロナ感染を伴う搬送は49件(同3件)だった。9日の「救急の日」を控えた7、8日、同署を取材。同組合消防本部の中島繁消防司令補(43)は、「少しでも体調に不安を感じたら119番通報を」と呼び掛けるとともに、「適正利用」の必要性を指摘した。

コロナ感染で増加

救急隊は隊長・機関員(運転手)・隊員の3人編成。午前8時半から24時間体制の隔日勤務。出動時は全隊員、感染防止衣を上下着装し、▽サージカルマスク・N95マスク(医療用マスク)▽ゴーグル▽フェイスシールド▽手袋―を着用。「コロナ禍以降、(感染対策で)身に付けるものが増えた。隊員によっては暑さ予防で『冷却ベスト』を着用する」と、同署救急隊の津田亮平消防副士長(31)。

7日午後2時ごろ救急隊は、この日3件目の救急要請を対応。80代男性が発熱を訴え119番通報。基礎疾患があり、濃厚接触者にあたるこの男性に対し、搬送の間、▽体温▽血中酸素飽和度▽呼吸の状態―などを確認。搬送後は新型コロナウイルス感染の有無を問わず、各病院で抗体検査などが実施される。

同3時ごろ同隊は帰署するとともに、次の出動に向け救急車内、各機材をアルコール消毒。搬送先の待機時間も利用し、同作業を進めるという。今回救急隊は、8日午前8時半までの24時間勤務で、計7件(うちコロナ関連2件)の出動要請に対応した。

津田副士長は、「一人暮らしの高齢者などの『不安』を取り除く、医療的判断を代わりにする『最後の砦』が、救急隊」とし「搬送以外にも関連機関に連絡を取るなど対応を、現場でしている。かかりつけ医への相談とともに119番の利用を」と話した。

救急隊隊長を務める中島司令補は、8月の出動状況を振り返り、「出動要請の約7割は『発熱』だった印象。少しでも、体調など不安を感じたら通報して欲しい」と呼び掛けるとともに、「一部ではあるが、タクシー代わり、搬送後の検査目的で通報する人もいた」と指摘。ひっ迫した救急体制を踏まえ、社会問題化している救急車の「適正利用」の必要性を伝えた。(西直人)