持込数量前年度の半分以下

JAあまみ大島事業本部が取り扱った2022年度産パッションフルーツは前年度実績の半分以下にとどまったことが報告された出荷反省会

平均単価1700円の高値 JAあまみ大島事業本部取扱パッションフルーツ 

JAあまみ大島事業本部は13日、奄美市名瀬の奄美大島選果場で「2022年度産奄美パッション出荷反省会」を開いた。JAが取り扱った持ち込み数量は1・5トン(1519キロ)となり、前年度実績(3・2トン)に比べ53・38%減と半分以下にとどまった。計画比でも35・23%減少している。平均単価は1700円と高値を維持していることから、奄美産パッションフルーツのブランド化へ共販のメリットを浸透させ量の確保が課題として挙がった。

共販メリット浸透、量確保へ

共販を利用したJAの果樹部会員(出荷者)、県や市などの行政機関担当者らが出席。取り扱い状況・販売経過、販売実績、今年度の反省および次年度以降の対応策などを協議した。

JAの報告によると、今年度産のパッションの選果・出荷は6月20日に始まり、7月28日には終了。全体の持ち込み数量は前年度より1・8トン減少、数量が少なくなった要因について「全体的に生育が良くなく、玉肥大も例年より悪かった」と説明した。

販売は、県外市場・ふるさと納税・宅配・業者などに実施。他産地との競合で市場出荷では値段の低下が懸念されたが、出荷量ピーク時の後半も落ちず。「東京市場には初めて化粧箱で出荷(20ケース程度)したところ、洋菓子店の需要などで仲卸業者から引き合いがあった。来年も化粧箱を継続し、お中元時期の需要にも対応したい」(JA)。LMサイズを主体にしたパック詰めでキロ単価をみても前半1660円、後半でも1500円台と大きな変動はなく高値取引が維持された。

また、ふるさと納税は前年より1・5倍ほど注文量が増加。JAは来年度もふるさと納税の受け付けを早めにして数量を増やし、売上アップにつなげていくとした。JA系のくみあい食品を通じて地元のイオンプラザ大島店にも出荷(パック・化粧箱)。市場よりも高めの額で取引されることから、パッションだけでなく他の品目(地場産の果物や野菜)も含めて同店に出荷していく。

出席者からは「共販の単価の高さは、生産者にとってメリットがある。JAがまとめていくことで奄美産のブランドが確立されるだけに、もっとJAに出すよう生産者に呼び掛け共販量を増やしてほしい」など量の確保を求める意見があった。県大島支庁農政普及課は県内のパッション生産状況について「10年前より約4・5倍増え、需要面から夏の果実としてそれなりの地位を占めている。市場単価も県平均1200円と安定している。大島事業本部の単価はそれを上回っているだけに、もう少し量があれば思い切った販売戦略ができる」としてJAを中心に量が集まる取り組みを求めた。品質管理面では今年の5月の日照時間は平年の半分以下だったため生育に影響したことから、「基礎体力をつけた樹体づくり」をアドバイス。根が十分に張っていない状況対策へ土壌の排水の悪さを改める土づくりの工夫が指摘された。