徳之島研究ゼミの慶大生と徳之島高生らの学習交流会=14日、徳之島高で
【徳之島】慶應義塾大学経済学部の橋口勝利(かつとし)研究会(橋口ゼミ)の「徳之島の地域活性化」研究のフィールドワークの一環で14日、同ゼミ生と徳之島高校生の「学習交流会~徳高生、そして慶大生が願う『島の未来』」が同校であった。首都圏の大学生視点の課題や解決策なでプレゼンを交え、地元高校生とのグループワークで同島の未来を語り合った。
慶応大経済学部・橋口教授(47)の同ゼミは「地域活性化へ向けた歴史的研究」をテーマに、今年度は主に「福島復興」「大阪副都心化」「徳之島の活性化」に関する研究を推進。初の徳之島は、前年度の観光庁実証事業で徳之島観光連盟が取り組んだコンシェルジュの観光資源化磨き上げ事業に、同教授が有識者で参画したのがきっかけに。
同ゼミ一行は同教授ほか学生10人(3、4年生各5人)。13日~15日の日程で「歴史」「農業」「観光・自然」班に分かれて行政機関や歴史資料館、農家、各種関連事業者などから聞き取り調査している。
学習交流会には同校普通科2年生(文系)27人が参加した。ゼミ生らは冒頭、徳之島を研究対象にした理由に「個性がある。離島としての経済的な課題がある一方、闘牛など特色ある文化、世界自然遺産にも登録され関心が高まりつつある」。主要指数を基に「わたしたちからみた徳之島」として従業者1人当たり所得の低迷、急速な人口減少の弊害なども提起した。
その上で課題解決のポイントに、①自然②文化③産業④伝統を生かした「自立性プラス持続性」。島外の視点「アイデアの補強(課題の指摘・島内資源の発見)」と、島内の視点「地域の主体性(島にとって有益な選択・伝統文化の保存)。そして「自分と島の将来像を結びつけて考えてほしい」ともアピールした。
自己紹介も交え、観光自然・文化・教育情報・コーヒー(生産)などの分野(班)別でグループワーク。「観光客の視点も大事にしながら徳之島の魅力を伝えることが大事」や「(観光は)SNSなど自分たちでの発信も必要」や「東京に憧れがあり、橋口ゼミに入って徳之島の魅力を発信したい」など感想でもわかせた。
ゼミ生代表の飯塚隆行さん(経済学部3年)は閉会あいさつで、高校生らに「将来的に島を出て活躍したい人が多かったが、出たからこそ分かる徳之島の魅力や課題も。最終的に島の発展に少しでも寄与できる部分に作り出せたら有意義」ともアドバイスした。
橋口教授は、研究成果については地元側にも近く発表・還元するほか、研究はさらに継続・深化させていく姿勢を示した。