元力士の名店が閉店のシマ唄ライブ

閉店を惜しむ満員の客を前にシマ唄を熱唱する、榮百々代さん(左) 

榮百々代さん、常連を前に笑顔の大将・松山さん(右) 

10月中旬に徳之島で継続へ

【東京】出身者らに親しまれていた東京都台東区の居酒屋が、7月20日に暖簾(のれん)を降ろした。閉店を惜しむようにシマ唄のライブが行われ、なじみの人たちが席を埋めた。都会で奄美の魅力を発信、憩いの場となった店は、徳之島で名前を変えて10月中旬から継続される。

店を閉じたのは、「かんもうれ」。JR御徒町駅近くにあった同店は12年間にわたり、奄美料理で出身者らをもてなしてきた。元力士の大将・松山晃久さんによる、ちゃんこも評判で、時には大将自らがサンシンを手に唄ったほか、シマ唄のライブも定期的にあった。そんな「大人の隠れ家」名店で、大阪在住の榮百々代さんが、シマ唄のライブを行った。

6月末、閉店を惜しむ人たちを前に熱唱した百々代さんは「コロナ禍で初の上京が、お世話になった『かんもうれ』での最後のライブとなりました」と感慨深げに語った。「六調」「行きゅんにゃ加那」の大合唱で締め、店内は思い出話に満ちていた。

松山さんは「大変なこともありましたが、皆さんに支えられて頑張れました」と目を細めていた。その後、徳之島に帰郷した松山さんは、2年前に亡くなった父・孝次(たかじ)さんが、2014年頃まで20年以上切り盛りしていた居酒屋「演歌の花道」を改装。「ダンスホール兼カラオケ。音楽を中心に、皆さんが楽しめる場所に復活させます。もちろんシマ唄もやれますよ」と声を弾ませた。東京の名店は閉じたが、感謝で客を迎え入れる店は、「演歌の花道」としてよみがえる。「故郷に腰を据えるのは32年ぶり。要望に応じて、ちゃんこも大丈夫です。『御徒町奄美ダイニングかんもうれ』のフェースブックは継続します」。大将が挑む新たな土俵は、10月中旬頃に天城町与名間に開かれる。