10月報告書決定へ

ユネスコ世界遺産委員会の要請事項ではアマミノクロウサギのロードキル防止対策も求めている(資料写真)

ユネスコ世界遺産委4要請事項 県議会答弁
徳之島遺産センター23年度着工予定

昨年7月の「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」の世界自然遺産登録に伴い、ユネスコ(国際教育科学文化機関)の世界遺産委員会は4項目の要請事項を決議した。世界自然遺産地域連絡会議や島ごとの部会などで要請事項に対する方策の検討が行われており、10月開催予定の地域連絡会議で報告書が決定され、12月1日までに同委員会へ提出される見通しだ。

14日あった9月定例県議会代表質問で自民党の郷原拓男議員=鹿屋市・垂水市区=が取り上げ、谷口浩一・環境林務部長が答弁した。

要請事項は、①観光管理②アマミノクロウサギなど絶滅危惧種のロードキル(交通事故死)対策③河川再生④森林管理。谷口部長は「国、本県、沖縄県、地元市町村で構成する世界自然遺産地域連絡会議や島ごとの地域部会において緊密に連携を図るとともに、科学委員会の助言を得ながら要請事項ごとに設置された要請事項対応タスクフォースで方策の検討を行っている」と報告。現在、各要請事項にかかる課題への対応についての報告書案の取りまとめが行われており、谷口部長は10月に開催予定の地域連絡会議で報告書が決定するとの見通しを示した。

奄美大島における保護上重要な地域の利用ルールづくりは、2016年にマスタープランを策定。奄美大島の自然保護上、重要な地域において観光客による過剰利用を防止し、貴重な動植物を保護するため国、県、地元市町村、地域住民や関係団体で協議を重ね、地域の実情に合わせて利用ルールづくりを行い運用している。谷口部長の答弁によると、具体的には金作原(奄美市)に加え、奄美市道・三太郎線周辺において夜間利用の事前予約制、速度の抑制などが行われており、今後もルールの改善に向けて実証実験を行っていく。

世界遺産センターの活用・連携で、奄美大島世界遺産センターについて谷口部長は「保全管理、観光管理の拠点として環境省が整備し、少人数で遺産地域を利用する場合の事前学習の場として、またVR等の設備により多人数の観光客も遺産価値を体感できる展示施設として活用が期待される」と説明。県は、同センター管理運営協議会の構成員でもあることから、センターの円滑な運営に協力しており、地域の特性に応じ適切な利用の推進に向け、多くの人に活用してもらうよう情報発信などの取り組みで連携していくとした。徳之島の世界遺産センターは徳之島町花徳への整備が計画されており、今年度、環境省が実施設計を行い23年度着工予定となっている。