希少種保護へ夜間パト

奄美大島に生息する希少種の盗掘・盗採を防止するため夜間行われている合同パトロール(環境省提供写真)

奄美大島 盗掘・盗採防止、監視体制強化
空港での持ち出し大幅増

 環境省など国の機関や県、地元市町村、取締機関の警察署を含む関係機関による夜間合同パトロールが奄美大島で行われている。世界自然遺産の島に生息する希少種の違法な盗掘・盗採を防止するため監視体制を強化している。

 夜間合同パトの実施機関は、環境省、林野庁、鹿児島県、奄美大島自然保護協議会(5市町村)、奄美・瀬戸内の両警察署。場所は島内の林道など。クワガタ類など希少な昆虫の発生時期と連休前後を含めた繁忙期の監視体制を強化しようと、9~10月にかけて実施している。

 奄美大島北部(国立公園区域や林道沿い)であった13日夜の合同パトには6人が参加。島内では希少昆虫生息地付近で不審車両や不審人物が確認されているが、約2時間にわたり行われた同日の夜間巡視では確認されなかった。

 環境省奄美群島国立公園管理事務所によると、今年の状況は、昨年と比べ昆虫採集用のトラップ(わな)の確認件数は下がっているものの、奄美空港で確認された持ち出し件数は大幅に増加。7~9月の夏場の期間、希少種を島外へ持ち出そうとした件数は昨年の13件ほどから、今年は9月2日現在約40件に上り、観光客らによる行為が断続的に見られるという。密猟事例では希少種について詳しくない子どもによるクワガタ類の採集の一方、昆虫に詳しいマニアが30匹も採集した行為が確認されている。

 同管理事務所の田口知宏国立公園管理官は「希少種保護条例で捕獲を規制しており、対象種は捕らないという姿勢でルールとマナーを守ってほしい。生き物との触れあいを規制するものではない。奄美大島に生息する生き物は宝物という認識で楽しみながら守っていただきたい」と語った。希少種保護条例で捕獲を禁止している生き物については、環境省や地元市町村のホームページなどで確認できる。