台風14号接近、不安な一夜過ごす

大型で猛烈な台風14号の接近に備え避難所で過ごす住民ら(奄美市名瀬の金久中学校体育館、17日午後4時30分ごろ)

シャッターを閉じるなど台風の接近に備える青菜青果の永田さん(奄美市名瀬の中心商店街、17日午後2時ごろ)

台風による雨風が吹き付ける中、懸命に傘をさして歩く買い物客(奄美市名瀬の中心商店街、17日午後0時半ごろ)

奄美、喜界、徳之島9市町村 避難所約210カ所開設
商店街はシャッター閉じ備える

 大型で猛烈な台風14号が接近した17日午後、奄美大島と喜界島、徳之島の9市町村は、計約210カ所の避難所を開設、同日午後6時までに約250世帯、約350人が避難した。同日夜に暴風域に入った奄美地方では、気象庁が「経験したことがないような暴風・高潮・高波・記録的な大雨のおそれ」があるとして、厳重な警戒を呼び掛けるなか、住民らは不安な一夜を過ごした。

 奄美市は、同日午前10時に災害警戒本部会議を開き、避難所70カ所を開設。同11時10分に高齢者避難を発令した。午後3時には警戒本部から災害対策本部に移行、午後4時45分に市内全域に避難指示を発令、新たに避難所9カ所を開設、市民に災害に備えるよう厳重な警戒を呼び掛けた。

 同市は、同日午後6時現在、115世帯、159人が避難した。地区別の避難者数は▽名瀬62世帯88人▽住用17世帯26人▽笠利36世帯45人。同市名瀬塩浜町の金久中学校体育館には午後5時現在で5世帯5人が避難。近隣住民らと一緒に避難した同市名瀬長浜町、生元高男さん(86)は「1人で自宅にいると不安で眠れない。家が壊れないか不安だが、命が一番大事。みんなといるだけで安心する」と話した。一緒に避難した女性(70代)は「久しぶりに大きい台風で心配。何も被害がないことを祈るだけ」と話し、別の女性(70代)は「普段から避難グッズを準備していたのですぐに避難できた。台風は怖いが、新型コロナで会う機会の減った友達と久しぶりに会話できてよかった」と話した。

 また、今月14日に同市と「福祉避難所の運営及び指定に関する協定」を結んだ奄美大島介護事業所協議会によると、同市名瀬地区の通所系介護サービス事業所2カ所で計7人の要介護・要支援の利用者の避難を受け入れた。

 同日午後4時現在の同市以外の避難状況は大和村29人▽宇検村23世帯38人▽瀬戸内町41世帯52人▽龍郷町10世帯10人▽喜界町21世帯34人▽徳之島町8世帯15人▽天城町11世帯13人▽伊仙町2世帯3人。和泊、知名、与論の3町の避難所開設はなかった。

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 奄美市名瀬の中心商店街では、多くの店舗が同日午前中から休業、シャッターが閉まった状態で、道行く買い物客の姿もまばら。時折、食料品などの買い出しにスーパーなどを訪れる買い物客もいたが、次第に強くなる風雨で壊れそうになる傘を必死にさして歩くも見られた。

 午前中営業していた店舗も、風雨が強くなった午後になると、ほとんどの店が営業をやめ、シャッターを閉じ始め、ブロックや土のうなどで補強する様子も見られた。

 同市名瀬末広町の青菜青果では、午後2ごろに営業を休止、シャッターを下ろすなど台風対策を始めた。店主の永田千秋さん(78)は「台風12号の時も数日に渡り青果物がなくなり、医療施設など取引のある所に迷惑をかけたので、今日はどうしても品物を届ける必要があった。明日からまた数日は営業ができなくなるので、取引先には申し訳ない」と話し、2週連続で台風の影響を受けたことに落胆していた。